SCENE101
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結婚・出産・介護等、女性のライフイベントに対応し、フレックス出社や産休・育休・時短制度を導入することで、長く働き続けたい女性に応える会社運営を実施してきました。新しいオフィスも働きやすさを重視し、2フロアのうち地下1階に個人とグループのワークスタイルを混在させることで、一つのオープンスペースに働く場を集約しています。地下とはいえ、植栽計画により明るいドライエリアがあるため、全く暗さを感じません。ワークエリアも様々な空間を用意しました。細い柱で囲われたエリア、ロングテーブル、円形・台形・楕円テーブル、様々な形のテーブルや椅子を配置することで、その日の気分によって場所を変えられるようにしました。整然と並んだ席は少なくし、視線のズレを生じさせ、無機質と有機質の素材をミックスしたインテリアは柔らかさと硬さを程よく感じる空間にしました。一角にはカフェコミュニケーションスペースがあり、くつろぎながら仕事ができるようにしています。スタッフは一部の固定席を除きフリーアドレスのため好きな場所を選択できるようになっており、その中で部署を超えたコミュニケーションが活発化します。カフェコミュニケーションスペースまた、1階は正面玄関とショールーム・接客室を直結させ、スタイリストや取引先への展示会を行うとともに、フラッグシップショップのようにお客様とのイベントも可能になっています。奥にはランチや休憩時間を快適に過ごすためにキッチンコミュニケーションスペースを設けました。このスペースではいつでも食事・仕事に使用することができるので、忙しい時には時間を有効に使えます。自由に使える冷蔵庫やレンジも備え、アイランドキッチン周りにIHコンロやシンクも用意し、日常だけでなく展示会などのイベント時にも活用できます。長く過ごす場所であるからこそ、オフィスには生活に必要な設備を揃え、便利にすることも、働きやすさにつながると考えます。オフィスは今、多様化の時代を迎えています。働き方に合わせた多様なワークスペースを用意することが、コミュニケーションを活発化させ、スタッフのモチベーションを支え、豊かなアイデアを生み、質の高い仕事につながることと思います。さらにいえば、仕事はライフスタイルの一部であり、個人のライフスタイルの充実を考えてこそ、会社という組織の充足が得られるのかもしれません。デザインは常に、人々の生活のためにあります。デザイン思考が様々な分野で活かされ、人々が生きやすい社会が育まれていくことを期待しています。キッチンコミュニケーションスペースPhoto:Nacasa&partners地下階と1階を用途別に使い分けインテリアデザイナーイガラシデザインスタジオ代表武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科教授五十嵐 久枝 氏Igarashi Hisae桑沢デザイン研究所インテリア・住宅研究科卒業。1986~91年クラマタデザイン事務所勤務。93年イガラシデザインスタジオ設立。幅広い領域で空間デザイン・インスタレーション・家具デザインに携わる。主な仕事に、TSUMORI CHISATO、武蔵野美術大学「ゼロスペース」、PEACH JOHN東京オフィスのインテリアデザイン、TANGO、baguette life、AWASE、AS YOU AREの家具デザインがある。14

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