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SPACE QUEST 01KONAN WOMEN'S UNIVERSITYセミフォーマルな「コモンルーム」が、キャンパスの魅力を創る学科独自の活動が盛んな本学では、学科の活動拠点として各学科ごとに多目的スペース「コモンルーム」を設置しており、学生のキャンパスライフを側面からサポートする重要な空間に位置付けています。遡ること2001年、文学部に「多文化共生学科」が開設されました。まだダイバーシティという言葉が聞かれる何年も前のことです。この先駆的な学科にふさわしい学びの空間として、私が提案したのが「コモンルーム」でした。当時、学生は大学に来ると教室に直行し、授業が終われば帰宅する。学生にとって学びの場とは、教室に限られてしまっているイメージでした。しかし、イギリスの伝統あるカレッジに行くと、キャンパスそのものに独特な雰囲気があり、教室での授業が終わっても大学内で友人と議論をしたり、一人で読書をしたり、コーヒーを飲みながらおしゃべりを楽しんだりします。それが「コモンルーム」と呼ばれる空間でした。教室がフォーマルなら、コモンルームはセミフォーマルな空間です。少し緊張しリラックスもできる。そんな空間があるからこそ、カレッジ全体が多様な学びの場になると得心したことを思い出し、多文化共生学科という新たな学びの場にこそコモンルームが必要だと思ったのです。こうして既設の部屋を職員で整理してできたコモンルームは、すりガラスを透明なガラスに変え、カーテンもない廊下から丸見えの部屋でした。周囲には不思議がられましたが、人の目、人の存在が意識できるということはとても大切です。それが学びの刺激となり、人とつながりコミュニケーションが生まれるきっかけとなるからです。また、コモンルームを使うのは学生だけではありません。教員も利用するし、学生と教員で共同利用することもあります。本学では教員を学生の “伴走者”と呼び、協働による共感や励ましで、学生の成長を促します。コモンルームは“伴走”の実践の場でもあるのです。国際学部の開設により5学部・11学科編成となる本学ですが、現在各学科はそれぞれのコモンルームを工夫して使い勝手のよい空間とし、独自性を発揮しています。今回の改組により誕生した国際英語学科と多文化コミュニケーション学科については、改組前のコモンルーム「e-space」と「D-commons」を全面リニューアルしました。それぞれのゾーニングや家具選びについては全て学科の教員に委ねましたが、3つの条件を想定していました。1つは壁で空間を区切らず誰とでも自由にコミュニケーションができるということ。1つは相反するようですが、集中できる空間も設けること。そして、もう1つが快適な空間、居心地の良い空間であるということです。こうしてできた2つのコモンルームは、いずれも私の考えていた3つの条件を満たし、採光性に優れているうえ、清潔感のある内装と、カラフルな家具が学生のモチベーションを高めてくれると期待できます。[左]国際英語学科・多文化コミュニケーション学科共有アクティブラーニングエリア/可動式の机とイスでレイアウトが自在にでき、プロジェクターと壁面ホワイトボードの設置により、プレゼンテーションやグループワークに対応するアクティブラーニング環境を整備。イス:ナビット、テーブル:セリオ、レクチャー台、ホワイトボード、壁面ホワイトボード、AV機器 [右]〈国際英語学科コモンルーム「e-space」〉カウンター&ミーティング席/イス:ティーポ、テーブル、ハイチェア、ハイカウンター (すべて内装改修)スピーキング・スカイプ個人ブース/海外提携先とスカイプをつないで、ネイティブスピーカーと1対1で話すトレーニングができる。ハイスツール、内装改修03

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