SCENE102
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域活動をサポートするNPO・学生ボランティアセンターなど、学友会館では希薄だった“地域に開き、地域と連携する機能”を設けて1階に集約しました。これを基壇部とし、その上に分棟として上下に2つのホールを重ねたホール棟と、L字に取り囲む形で計画したガラス張りのボリュームに、和室や多目的なミーティングルーム、イベントスペース等で構成される文科系サークルの活動の場となる諸室を配置。フレキシブルに運営できるよう、室間をホワイトボード機能付きの可動パーティションとし、家具もキャスター付きを中心に選定しています。外装は既存施設の外壁に使用され、キャンパス全体を特徴付けているレンガタイルをコア部分にあしらうとともに、ホール棟はコンクリート打放しで、遮音効果を高める機能も備えたインパクトある外観を形作っています。コンクリートの塊の中に設置された2つのホールのうち、一つは「Ryukoku Main Theater」と名付けられた本格的な舞台設備を持つ350人規模のメインホールです。主に演劇・音楽系サークルが使用しますが、講演会、学会などにも活動できるよう座席にはメモ台を設置。座席段床の角度や配置、室内仕上げや家具の色調などにも配慮し、用途を限定せず幅広い催しに対応できるようにしました。もう一つは、学友会館にはなかった150人収容のコンパクトな平土間ホール「Ryukoku Live Theater」で、こちらも多目的な活用が可能です。そして、メインキャンパスや既存施設からの外部動線は、2つの棟の間の階段につながりそのままテラスを介して最上階へと続きます。また、接道面・北側ファサードに計画した緑化壁は、道路面に対し引きを取ることで地域との境界を曖昧にし、1階のカフェレストランや社会・地域連携施設への誘導を意識することで、大学の活動、賑わいが外部に発信できる環境を目指しました。完成した成就館に対して大学様からも、課題であった耐震性・遮音性を備えるとともに、動線の誘導と内外のシームレスなつながりにより、地域連携の強化が期待できるとの評価をいただきました。今後、学生の皆さんに成就館を主体的に活用してもらうことで、私たちが意図しなかった発想が生まれ、活動の賑わいが建物内外に溢れる施設になることを期待しています。[左]2階 テラス/イス、丸テーブル [右]1階 事務室/イス:ビアネロ、事務机、テーブル、ゴミ箱龍谷大学 深草キャンパス 成就館所在地:京都府施主:学校法人龍谷大学設計:株式会社飯田善彦建築工房06

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