SCENE66
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夢 都心の伝統校・郁文館夢学園は、明治22年に設立され、夏目漱石の小説「吾輩は猫である」に登場する学校のモデルとも言われ、男子進学校としての歴史を歩んできた。学校法人名の郁文館夢学園は2006年に改称されたもので、理事長にはワタミ(株)の渡邊美樹氏が就任し、理念は「夢教育」を掲げている。夢教育とは、夢を持ちそれに向かって計画を立て、体験して確認をすることで、思いやりのある人格を育てることとしている。そうした夢教育をさらに推し進めるために、新校舎が建設された。2006年から2010年にかけて順次改築し、2010年4月からは共学校としてスタートした。 新校舎の中央を吹きぬけにして自然光を取り込み、開放感を持たせている。各階にテラスを設けて先生や生徒同士の語らいの場とし、クラスを超えたコミュニケーションづくりをめざす。図書室の蔵書数は約35000冊と多く、通常の分類方法ではなく、生徒が抱く夢の種類別に分類されている。全教室でパソコン利用授業が可能であり、さらに共学化を視野に入れて、華道や茶道のために和室を設けたり、家庭風システムキッチンの並ぶ調理室を備えたりしている。様々な用途に利用できる多目的講堂には移動観覧席を採用し、夢教育を多彩に演出する場として活用されている。夢の発見・実現に向けて新校舎を建設し、1世紀の歴史をもつ男子校は共学へ。東京都郁文館夢学園IKUBUNKAN YUME GAKUEN設計:(株)寺田大塚小林計画同人ステージの背面には開口が設けられており、様々な舞台演出が可能。明るく開放的な講堂として多目的に利用できる。屋上菜園/生徒たちは提携農場と一緒に農作業を行う。作物の成長を観察したり、土壌や微生物などについて学んだりしている。写真上下撮影:三輪晃久写真研究所 三輪晃士15SCENE

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