SCENE66
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06SCENE十字型平面と外周リングによる2重構造多目的ホールは、通常は体育館として利用しますが、国際会議や式典、クラッシックコンサートなど幅広い活用が求められました。我々は、十字型平面をしたアリーナの外周を円形のランニングロードが取り巻く2重構造のホールを提案しました。アリーナからホールへの空間の転換体育館として利用する場合と、ホールとして利用する場合では、アリーナの正面は90度向きを変え、移動観覧席、舞台天井、側面反射板、ウィングパネルを操作することで、室内の様相は一変します。体育館使用時は、前室のドア、2階ランニングロードに面して雁行したパネル、舞台後壁を開けて、光と風を入れます。一方、式典やコンサート使用時は、それぞれ適正な音環境が違うため、舞台天井、側面反射板、ウィングパネル、舞台後壁などの開閉や残響可変カーテンを調整して、各場面に合った空間をつくります。十字型平面の入り角部分にあるL型壁が鉛直力を、外周リングが水平力を負担し、全体として経済的な構造計画を実現しています。低いランニングコストで快適な室内環境冬の寒さが厳しい秋田では、低ランニングコストによって快適な室内環境を実現することが我々の課題でした。大空間のアリーナは底冷えが懸念され、安定した温熱環境を得るため、床下空調を採用しています。建物は低層部を外断熱にしており、平面計画ではアリーナを中心とした「入れ子構造」となっているため、主空間であるアリーナの温熱環境は安定しています。学内行事から国際会議まで利用できる、機能とデザインを兼ね備えたホールAkita International University公立大学法人 国際教養大学(株)環境デザイン研究所 会長 仙田 満舞台奥の扉を開けるとガラス越しに桜並木が望める。通訳ブースが2つあり、二言語対応が可能。多目的ホール

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