SCENE68
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愛知県愛知工業大学八草キャンパス 新1号館新たな教育のあり方や少子化といった時代の変化、さらには施設の老朽化に対応して、キャンパス再編に取り組む大学が相次いでいる。そうした取り組みの先には再編後の未来の姿が見える。工学系の愛知工業大学と文系の獨協大学は、それぞれ2009年と2014年に、開学から半世紀を迎える私立大学である。50周年の節目に当たり、次の半世紀を見すえた独自の改革にアクティブに取り組んでいる。その取り組みに共通するキーワードが「教学の充実・発展」と「地域や環境への新たな働きかけ」。これらのキーワードは、新設された愛知工業大学・新1号館と獨協大学・東棟の建築や教育環境づくりにも生かされている。各大学のキャンパス再編と新施設について、ビジョンを踏まえながら紹介していく。創造的な工学教育は、学生が参加したくなる環境からINTERVIEW02SCENE(株)青島設計設計室 チームⅡリーダー内藤 正隆 氏 新1号館が建設された背景は 次世代キャンパスを目指す教育環境づくり 愛知工業大学八草キャンパスは丘陵地に在り、アプローチを上っていくと、東西に走るキャンパスアベニューにたどり着きます。新1号館は、そのアベニューに面して建設されました。 大学からの要望は、まず、新1号館をキャンパスのランドマークとして建設し、そこに高度なマルチメディア教育が可能な設備と施設を整備し、さらに、旧1号館に替わる講義室を用意することでした。次に、学生がゆったりと座って食事や休憩そして交流できるスペースを、可能な限り多くつくることでした。キャンパス内に学生食堂やフードコートはありますが、数が十分ではありませんでした。 当初は、地中埋設物のために、建設予定地はもっと狭くてアベニューには接していませんでした。しかし、要望に応えて魅力的な施設にするために、私共は新1号館のファサードがアベニューに面するような計画を提案したのです。大学にこの提案を受け入れていただき、埋設物を移して広い敷地を確保できたことで、より魅力的なスペースづくりが可能になったと考えています。これをきっかけに、就職支援施設であるキャリアセンター、図書館機能を持つメディアセンター、学生が自由に利用できるレンタルスペースなども設置されることになりました。 愛知工業大学は、開学から50周年を迎えた2009年に、「新たな時代の実学教育」を目指して、学部・学科・専攻を再編し、工学部、経営学部、情報科学部の3学部、7学科、14専攻の工学系総合大学となった。「創造と人間性」をモットーに「ものづくり」を通した工学教育を行ってきたが、その50年のノウハウを文系教育に活かして、独自の経営学部と情報科学部を創出している。 八草、自由ヶ丘、本山の3キャンパスのうち、主体となる八草キャンパスは、木々に囲まれた約66万㎡の広大な敷地にあり、本部棟、各学科棟や図書館など多くの施設を備えている。新たに誕生した新1号館は、学習環境を充実させ、学生のために快適で交流が芽生える場を創出する目的で建設された。埼玉県獨協大学 東棟P02-06P07-12表紙、p02外観 撮影:(株)センターフォト

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