SCENE69
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変わる、学校図書館 現代の子どもたちは、テレビ、ゲーム、インターネットなど、多様なメディアに日頃から慣れ親しんでいて、「読書離れ」「活字離れ」が課題となっている。一方で、21世紀は「知識基盤社会※」の時代とも言われ、子どもたちは時代にふさわしい「読解力」を持つことが望ましいとされている。「読解力」とは、「書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」であり、そのためには先ず「言語能力」を身につけることが必要になる。 言語能力は、本を読むことで養われる。読書は、「考える力」「感じる力」「表す力」を育てるとともに、コミュニケーションや感性・情緒の基盤を築いて、子どもたちが他者や社会とかかわる上で不可欠な、「生きる力」へと結実していくのである。※知識基盤社会:新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化など全ての領域の活動において、飛躍的に重要性を増す社会 子どもたちの読書活動を活性化するため、国は、2000年を「子ども読書年」とし、翌年には「子どもの読書活動の推進に関する法律」を制定した。法律には、子どもの読書活動推進に関する基本理念や行政の責務が定められている。2005年には「文字・活字文化振興法」を制定し、子どもの読書活動を推進するためには、学校図書館の充実が必要であるとしている。2007年に改正された学校教育法では、「読書に親しませ、生活に必要な国語を正しく理解し、使用する基礎的な能力を養うこと」が新たに規定された。 また、2010年を「国民読書年」として、学校のみならず、家庭や社会全体で読書に対する気運を盛り上げようとしてきた。国は、こうした計画や活動に対して、交付金等の財政措置をはじめとした支援を行い、都道府県や市町村でも、独自の推進計画を立てるところが増えるなど、読書活動推進の動きは全国的に活発になっている。 読書活動を推進するために、法律や施策が次々と施行されるなかで、1997年には学校図書館法が改正され、図書館の活用についても様々な方策が出された。しかし本来の役割の大きさや重要性にもかかわらず、いまだに十分な活用がなされていないのが現状である。また、校舎の片隅に立地する、館内の広さが十分でない、入り口が閉鎖的で中が暗い、本が手に取りやすく配架されていないなど、利用しやすいような施設整備が進んでいない学校図書館も多い。そのような図書館では、読書の楽しさを浸透させることは難しく、貸出冊数が伸びずに利用者も限定されがちとなる。 学校図書館の第一の役割は、子どもたちに読書の楽しみや大切さを伝え、さらに読書の幅を広げていくことである。それを果たすには、まず現在の学校図書館を、親しみやすく利用されやすい図書館へ変えていくことが先決なのではないだろうか。上読書が、子どもたちの「生きる力」を育む国をはじめ社会全体で担う、読書活動の推進学校図書館を変えて、読書活動推進の柱にお勧めします!図書館づくりに関する詳しいパンフレット※次号<下>では、調べ学習の場として活用が求められる学校図書館をレポートします。13SCENE

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