SCENE70
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■光と風によって創られた学部棟 生命・環境科学部棟の建築コンセプトは2つあり、1つは「光と風を取り込む」こと、もう1つは「人と人の交流を重視する」ことです。 光と風を取り込むことは、生命と環境を科学する学部にふさわしい建物とするために不可欠な視点です。自然のエネルギーを最大限に使うために、「ソーラーチムニー」と「クールピット」を採用しました。建物の東・西端にあるガラス張り階段室が「ソーラーチムニー」になっており、屋根にベンチレーターが設置されています。これは、チムニーに蓄えた太陽熱による上昇気流とベンチレーターから誘引される外気の流れを使うという、まさに光と風の力を使った自然換気ですね。「クールピット」を活用することで、さらに空調負荷を低減しています。また直射日光を防ぐため、設備配管点検スペースを兼ねたバルコニーを設けました。 昼光を建物の奥まで取り込むために可能な限り間仕切をなくし、エレベーターシャフトもガラスとしました。廊下のつきあたりも採光窓にしましたが、人の歩く方向に光があると、奥深さが緩和されて不安感が減ると言われていますし、景色が見えて季節を感じることもできるのではないでしょうか。また、南北の「瀬戸レンガの透かし積み」壁面は、設備配管を隠すと同時に、透き間から室内に光を取り入れています。 獣医学部棟をはじめキャンパスの建物では、茶系のタイルなどがアクセントにされてきた経緯から、この棟もレンガを採用しました。レンガの重量感とガラスの繊細さが印象的な、明るくしかも伝統と風格がある建物となっています。ソーラーチムニーエントランスホール/ラウンジチェア:ソーハッピー、丸テーブル、ベンチソファ、ローテーブル廊下つきあたりの採光窓(株)日本設計医療施設設計部 主任技師鳥越 啓史氏医療施設設計部陸川 悠氏INTERVIEW14SCENE

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