SCENE70
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自由闊達な教育研究風土の基盤となるキャンパス研究特性や発展性を重視した新たな研究と学びの場。 2~3階には講義室が10室あり、100名以上が利用できる固定席の一般講義室、少人数で使う可動席の多目的教室、コンピューター室などいくつかのタイプを用意しています。本学が独自に行っている講義室に関する満足度調査では、教員は受講者が多い方が、学生は受講者が少ない方が満足度は高く、その折り合いが学生密度70%なんですね。調査の結果も踏まえて部屋の規模を決めました。講義室および研究室は、家具の構成を揃えていますが、講義に使うボードについては、工学系と理学系ではニーズが異なるのです。工学系はホワイトボードを、理学系は黒板を好みます。 また、リフレッシュの場としては、レクチャーコート、テラスやラウンジなど可能な限り設けており、レクチャーコートは、外でディスカッションしたいという希望を叶えたものです。 4階には建築系の教育エリアがあり、2年生から4年生全員の座席が確保された100席規模の製図室、デッサンや石膏模型づくりなどをするアトリエ、パソコン室および講評室から成っています。これらを有機的に使うために、オープンな連続した空間としました。また天井をメッシュにして、通常は隠れてしまう構造や設備を教材として見せています。エリアの中央に位置する講評室では、“設計課題の講評”という建築系にとって重要な授業が行われます。そして重要だからこそ、オープンな状態として、他学年・他分野の学生や教員にも聴いていただきたいと考えています。また4面にスクリーンが設置してありますから、新しいプレゼンテーションも可能となるのではないでしょうか。 5階は建築系の、6~7階は理学系の研究室と院生室が入っています。5~7階ともに、教員の研究室は従来のような個室ですが、院生室はオープンな形に変えました。院生の数は変動しますからスペースはフレキシブルに使いたいですし、他研究室の院生同士の会話や議論も弾むのではないでしょうか。また、研究室と院生室の間の廊下は3m幅と広く、壁面にはホワイトボードが張られています。これは理学系から、「浮かんだアイデアをすぐに書き留め、廊下でも議論ができるようにしたい」という申し出があったからです。6~7階では、ホワイトボードへ書きなぐられた数式があちこちに見られますよ。こうした空間から生まれてくる、新たなノーベル賞級の研究成果が期待されているのです。 1つの建物の中に、全く文化が異なる2つの学部が同居しています。建築は出来上がりを想定できますが、素粒子宇宙研究では予めゴールの予想ができませんから、自由な発想が重要になってくるのでしょう。ES総合館の建設については、両者間で様々な議論が交わされ、お互いに協力して創り上げましたが、今後も意識して交流を続けていきたいと考えています。05SCENE全面ホワイトボードの壁と3m幅の廊下は、研究室エリアにおける出会いと議論の場。2008ノーベル賞展示室2008年に益川敏英博士と小林誠博士がノーベル物理学賞を、同年に下村脩博士が化学賞を受賞。レクチャーコートには周囲の気温が下げられるドライミストを設置。講評室と製図室はオープンに連続。構造や設備を見せるため天井をメッシュに。CONCEPT名古屋大学 東山キャンパス ES総合館

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