SCENE71
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本校は、女性の「自立と共生」という理念のもとで教育をしております。自立した社会人としてのベースをつくること、環境や育ち方の異なる人々がいる社会の中で共に生きていける人材に育てることが目標です。共に生きる社会を考える「共生社会研究」を高校1年で実施し、テーマを設けて考え発表し合うという学習を続けてきました。本校は受験のために偏差値を上げることを指導の1番の目標としている学校ではありませんし、まだ方向がはっきりと定まらない中・高校生に、様々な学びを提供して可能性を広げたいと考えています。 課外活動として実施している「国際塾」では、国際的な視野を身に付けることを目指しており、自分で考え自己表現をするために英語の力を付けることを大切にしています。また「科学塾」では、驚きと疑問の視点を持ち、仮説検証型で能動的な学びを重視します。もともと本校では、「自ら考えて表現し、お互いに発表し合う」ことを大切にしてきました。そのせいか、生徒たちは表現や発表をすることが得意で、学外からも高い評価をいただいております。 こうした表現力を養う学習を、広い空間を使い自由な発想で行いたいと考えていました。また本校は、中・高一貫教育のあり方や教育環境を見直すために「2011文京未来構想プロジェクト」に取り組み、「新しい学び」を模索していました。そうした時期に出会った教育環境が、アクティブ・ラーニング・スタジオでした。 アクティブ・ラーニング・スタジオ「BAL Studio」は、自由な使い方ができるように、広い空間を区切らないで使おうと決めていました。様々な組み合わせができる家具を選び、パーティションを兼ねるホワイトボードをたくさん用意しました。床はアクセスフロアにしていますが、パソコンを使うこと自体が主目的ではありません。パワーポイントを使って発表するなど、スキルの活用をねらっています。ホワイトボードについては、東京大学の福武ホールの「ラーニングスタジオ」を見学した折りに、活用事例の話を聞いてなるほどと思い採用しました。 BAL Studioは、以前は中学校舎だった建物を高校3年生用に「進学棟」としてリニューアルし、その食堂施設フロアを改装したものです。室内の造りを生かし、プロジェクターや天井吊りモニターもそのまま活用しています。また厨房がありますから、勉学の合間にリラックスできるカフェコーナーや、個別の自習スペースも設置しました。アクティブ・ラーニングのスペースと、カフェコーナーおよび自習スペースは、壁ではなく本棚で仕切っています。 BAL Studioは進学棟にありますが、中学1年から高校3年までのすべての生徒が使います。能動的な学習の可能性を引き出せるようなプログラムをいろいろ用意していきたいですね。共生社会で自ら表現できる人材育成にアクティブ・ラーニングは最適。旧施設を生かして広い空間を創出し自由に使える場づくりを。INTERVIEW 1文京学院大学女子高等学校 副校長国際教育センター長雨宮 正典氏BAL Studio:様々な機能を備えたオープンな空間。12SCENE

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