SCENE71
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2年ほど前に出席したリメディアル教育※に関する学会では、高校生が受験一辺倒で大学へ入学してくるので、大学初年度で必要とされる問題発見・解決型の力が十分身についておらず、補習教育をせざるをえない現状が話題となりました。この問題を解決するために考案された学習の場が、アクティブ・ラーニング・スタジオです。 アクティブ・ラーニング・スタジオの導入にあたっては、東京大学の駒場キャンパスの「KALS」と本郷キャンパスの福武ホールを見学し参考にしました。そこで行われた「先端技術講座 ソーシャル・メディア・ラーニング」に理数クラスの生徒を参加させ、iPadやツイッターを使った試みに挑戦させました。生徒が興味を持ち変わっていくのを目の当たりにして、本校でも導入する価値があると納得したのです。 アクティブ・ラーニングという学習法は、教師が一方的に教える授業に比べて、学習内容の定着率がいいと言われています。また、単独で行うより年間カリキュラムの中へ組み込んでいく方が効果的です。本校では、アクティブ・ラーニングをできるだけ早く生徒へ定着させて、学習のモチベーションアップを図ろうと考えています。 BAL Studioは、「共生社会研究」や「科学塾」、そして総合学習や授業の調べ学習などに使われています。「科学塾」で大事にしているのは、体験して驚きと疑問を持ち、なぜかを考えて検証し、新たな発見をすることです。また生徒は、「ラーニング・バイ・ティーチング」という体験もします。これは、科学教室での実験をあらかじめ教員や研究者から学び、小・中学生に分かり易く教えることによって、生徒自らの学びを振り返るという効果的な学習方法です。このプロセスを通して科学のおもしろさを実感し、こどもたちの笑顔によってより深く学ぼうという意欲が育ちます。このような振り返りや自身の確認を必ずプログラムの中に採り入れています。 アクティブ・ラーニングでは、発表や話し合いのために学習の記録を残すことが大切ですが、高校では専任の記録要員は置けません。まず、生徒自らの考えを手書きで記録することを基本としました。書き込む道具は、ホワイトボード、メモやカードなどいろいろあります。衝立型ホワイトボードのように、他グループのコメントが一度に見えて様々な考え方が分かるツールは、グループ学習には欠かせません。また、生徒たちのメモが読みやすいのは、伝統教育でペン習字を日頃から行っているからです。手書きというローテクな方法も高校教育には必要なのかもしれませんね。 こうした能動的なグループ学習を実践するには、空間の自由度が高いBAL Studioが最適だと考えています。※リメディアル教育:大学初年度における基礎学力の補習教育。自習エリア/自習テーブル:TD-10、イス:デューンマルチメディアエリア/PCテーブル:特注品・MT-30、イス:デューン廊下から見たBAL Studio:ガラス張りでスタジオ内がよく見え、生徒や教師が入りやすい。「BAL Studio」の開設を決断させた生徒の能動的な学び体験。考えコメントして発表し合う独自の活動に欠かせない「BAL Studio」。INTERVIEW 2文京学院大学女子高等学校 教頭科学教育センター長・科学塾長棚橋 信雄氏自習エリアラウンジエリアワークエリア厨房廊下マルチメディアエリアBAL Studio 平面図 S=1:70013SCENE

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