SCENE73
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アクティブラーニングを活かす、学習空間とICT環境 アクティブラーニングでは授業に合わせて多様なレイアウトをするので、教室の面積に余裕をもたせることが必要です。学生1人あたりの規模算定は、従来の講義型教室の約2m2/人に対して、アクティブラーニングスタジオでは約4~4.5m2/人が理想とされます。 講義形式は教員が学生に教える学びの形であり、教員の側から話すことが多いので授業の方向が限定されています。講義型教室では、窓側に向かい右手の黒板が正面とされてきました。しかしアクティブラーニングは学生の自主的な学びの形であり、授業が一方向とは限りません。さらにICTを活用してネットワーク型の授業をするので、教室の方向は限定しない方がいいのです。だから、正方形や円形、六角形や八角形でもよく、例えば八角形だったら八面でプレゼンテーションができます。 また、家具や教材・備品の出し入れを、用途に合わせて頻繁にしますので、バックヤードの充実も重視されます。 教室を使う1グループの人数は6~8人が多いのですが、2~3人という少人数使用や講義型使用もありますから、人数や用途に応じて多様に組み合わせられる家具が条件となります。テーブルの形は四角である必要はなく、台形や勾玉形などフリーなレイアウトに適した形状がよいと思います。教卓も可動で、さらに、講義の時には高い位置で、個別相談の時には低い位置で使えるように高さが変えられるタイプが適しています。 また、全ての家具がキャスター付きなので、ローラー跡・移動時の音・すべり具合などへの配慮が不可欠です。移動しやすいように、家具の軽量化と収納に配慮したフォールディング機能・スタッキング機能が求められます。 一方で、学生や教員が長時間学ぶ場では、家具は裏方として彼らをサポートすることが大事だと考えています。家具は体に最も近い存在ですから、触覚的にも視覚的にもやさしい素材やデザインが適しているのではないでしょうか。 家具プランは、教室計画、家具の使い方や素材などをトータルに考えることが重要であり、家具の出来具合が建築の評価へも影響してくるのです。 アクティブラーニングのICT環境の理想は、スタジオのどの位置にいても情報が受発信でき、かつ、皆で同じ情報を共有できることです。情報がどの学生からも見えることが大事ですから、多方向にスクリーンを設置し同時に投影できるようにします。 情報端末については、無線LANやタブレット端末の普及で、情報がワイヤレスで受発信できるようになり、机のレイアウトがかなり自由になりました。しかしプロジェクター用ケーブルとその電源については、位置が固定されているので自由度が高くありません。電源を必要なだけ設けることは費用的に困難ですから、例えば使いたい場所へ移動できるなど、より自由度の高いシステムが開発されること組み合わせ自在で、人あたりのやさしい家具を。学生や教員が使いこなせる、多方向型のICT環境づくり。八角形空間も有りうる、アクティブラーニングスタジオ。最新・教育事情アクティブラーニング第 3 回1まがたま17 CULTURAL FILE

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