SCENE74
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1.2 生糸検査所ギャラリー/神戸生糸検査所は、日本が世界最大の生糸輸出国となった20世紀初頭から半ばまで活躍。検査機械や資料など、その歴史を展示している。3.4 KIITOホール/高い天井やトラスなど、当時の状態を活かして改装。可動間仕切りで区切ることも可能で、木製ボックスはテーブルなど多用途に使える。イスに関しては、黒をベースに、赤や白をイベントに使用するなど、用途に応じて組み合わせている。イス:ティーポ、テーブル:CTZ 6 エントランスホール 7.8 左から旧館・新館外観/旧館の設計は清水栄二、新館が置塩章で、神戸の近代建築史上重要な建築家である。 1868年の開港以来、150年近い歴史を生き続けてきた神戸の財産はたくさんありますが、「デザイン都市」という観点からは“人のネットワーク”と“都市空間”そして“歴史的建物”が重要だと考えています。今の時代は、行政も企業も縦に細分化され横のつながりを失ってしまいました。私はそれらをもう一度束ね合わせ、その中で人材を育成していきたいと考えています。また「デザイン都市」が推進されるステージは、市民の暮らしの場と地域社会です。ですからKIITOが、社会に貢献するためには、市民とデザイン・アート・メディアが出会える場にするために、いつも暮らしの場と地域に開放されていなければなりません。 もともと神戸は、港町として世界の情報を受け入れ全国へ発信する役割を担ってきました。それを再度試み、KIITOでの活動を世界に発信しようということです。かつては外圧による不本意な開港でしたが、今回は、ユネスコから日本で初めて「デザイン都市」と認定されたことがきっかけです。戦災や震災を乗り越えてきた街づくりや歴史的な価値が生かされた街並み、そして新たな街づくりの試みが評価されました。神戸市の暮らしや環境の魅力を捉えなおし、自信を持って世界へ発進できるいい機会となります。 都市は閉じると縮んでいくと言われています。神戸も常に、国内外へ都市情報を発信していくことが大切です。しかも過去のようにヨーロッパや米国のメガネではなく、神戸のメガネで世界を見ながら発信していきたいですね。21「デザイン都市・神戸」を創るのは人のクリエイティブ・ネットワーク。神戸市統括監神戸芸術工科大学 学長齊木 崇人 氏Takahito Saiki歴史を活かす人の力が、都市をデザインする。03 CULTURAL SPACE QUEST

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