SCENE75
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 見て楽しむプロスポーツの興行時には、センターコートの上に16m、その上部に大型映像や天井構造体が設置されて20mを越える高さが必要とされます。しかし、この体育館の敷地は狭くてしかも住宅街に隣接しています。そこで、周囲への圧迫感の軽減を第一に考え、体育館の壁面高を2階建住宅の屋根の高さ(約8.5m)に合わせるために、地下2階まで掘り下げました。地下2階には、駐車場を設け、地下1階がアリーナの床面となります。アリーナ以外の設備を地下へ収めた結果、地上のアリーナ周りがすっきりとし、外からのアクセスが良くなりました。 興行時には固定席と可動席を合わせて最大4000人の観客が入りますから、観客席のメインレベルを地上1階に設定して、出入りしやすくしました。出入口は、通常はメイン1ヵ所だけですが、緊急時には全12ヵ所の出入り口から安全に脱出できるようにしています。 後ろの都市公園などへ通り抜けられる地域住民の生活道路とするために、メインアリーナとサブアリーナの間に屋根付きの通路を設けました。通路に面する両アリーナの壁面をガラス張りとし、利用者や来訪者が中の様子を見ることができるように開放性を持たせています。一方で、アリーナの外周壁は閉鎖的にして近隣住民のプライバシーに配慮しました。 住宅街に隣接する敷地を安全に掘削するために、私たちはアイランド工法を選びました。中央部を先に掘って地下躯体を完成させ、そこをベースに周囲を支えながら掘り進める工法です。 メインアリーナの屋根は、天井高を確保したうえでボリュームが抑えられる山型とし、多面トラス鉄骨構造を採用しました。また、大空間の天井が地震時に落下しないよう、天井パネルをボルト留めし、体育館の地上ボリュームを抑えて、住宅街に建設。プロジェクト推進室 総合計画 部長プリンシパルアーキテクト能勢 修治 氏Shuji Nose最新技術で課題を解決し、独自の建築デザインを創出。1762311 THE TOPICS

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