SCENE78
11/28

34 値段については、学生の場合は使える食費に限度があるので、500円が基準になると思います。学食研が発表した2013年度の学食ランキングで1位を獲得した東洋大学白山キャンパスも、値段はほとんど500円です。麺類なら300円というところですか。 学食研では、主観的ですが“学食の定義”をしています。2つあって、①大学内にあること ②その大学でしか食べられないものがあること。①は当たり前のことですが、②については、例えば東京大学のレストラン「ルヴェソンヴェール」では、800円でフレンチのランチが食べられます。昼ご飯1食800円は学生には高いのですが、そこでしか食べられない料理なので、学食とします。味や量については、多様なので定義はしていません。 食環境については、昔は座って食べられるならいいと考える大学が多かったのですが、今はおしゃれで内装にこだわる学食がどんどん増えています。また、都心にある大学の場合は、周囲にカフェや食堂などがたくさんあるせいか学食の充実に対する積極性があまり感じられないのですが、郊外にある大学の場合は、周りに食事をする所がないので食環境づくりに力を注いでいます。例えば中央大学の多摩キャンパスには「ヒルトップ’78」という全階が学食専用の建物があって、いわゆる普通の食堂から“座敷で和食が食べられる”店まで多様な店舗が入っています。 学食における最大の課題は昼時の混雑で、特に新入生が来る4~5月がピーク。授業があって昼休みも決まっているので、難しい課題だとは思います。例えば早稲田大学の対応は、回転を速くするために立ち食い席を設けていますが、学生数に比べると座席数は圧倒的に足りません。その上 “学食ブーム” で一般客が増えて、より席数が足りなくなるという事態があちこちの学食で起きています。一般客に対して、昼時を避けて来ていただくように広報している大学もあります。 メニューについては、東洋大学白山キャンパスのCurry mantraのカレーセットのように、大学の特色が出ていると食指が動きます。料理の温度も大切で、混雑時には難しいことではありますが、作り置きよりも注文を受けてから作りアツアツを出してもらえたらと思います。例えば立教大学池袋キャンパスの第1食堂は、その場で作るので時間はかかりますが、レトロでゆったりとしたおしゃれな学食なので、おいしい料理が食べられるなら待ち時間も気になりません。 私自身は、今まで100校位の学食を訪れてきました。調査や比較を通して見えてきたことを活かして、学食のプロデュースやメニューづくりにも挑戦してみたいと考えています。その大学でしか食べられない500円以内のメニューが基準。混雑解決はしてほしいが、おいしい料理なら待ってもいい。1-4 東洋大学白山キャンパス6号館地下1階の学生食堂 1 東京食堂 Oriental Kitchenのオムライス/とろとろ半熟オムライスや多彩なメニューそしてボリュームが評判の洋食屋。 2 広さは2,250㎡で席数は約1200席。フードコート形式の食堂で、和食、洋食、本格的なインドカレーまで7つの店舗が多彩なメニュ ーを提供。 3 Curry mantraのカレーセット/インド人シェフが、注文を受けてからタンドール釜でナンを焼くインドカレーは、いわゆる学食メニューとは差別化が図られている。 4 食事を楽しみながら調査をする学食研究会。次回は、学食専門家・唐沢明氏の「これからの学食に必要なこと(仮題)」の掲載を予定しています。2CULTURAL FILE 10

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る