SCENE78
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 「地域共働型学校」は、身近な公共施設である学校を、教育の場であるとともに地域活動の拠点にもなるようにとらえ直した複合施設です。豊田市は、この学校づくりを地域と「共働」で進めています。「共働」は、共通の目的を実現するために各々がその役割と責任のもとで“自主的に働くこと”を意味します。その方針に沿って、浄水北小学校の学校づくりは、地域の方な ワークショップ初年度は、学校づくりのコンセプトと学校と地域が連携する活動について議論し設計へ反映しました。次年度以降は行動しながら学校づくりを進めるという方針のもとで、子どもと大人たちが共に敷地内にある里山の整備活動を行う「じょうすいのもり隊」や工事工程に組み込んで行われたトイレのタイルデザインワークショップなど、さまざまな体験どで構成された整備検討会「おいでんの会」と共に進められました。 整備検討会では、建物の設計というハード面と、“こんな活動がしたい、こう使いたい”という要望などのソフト面の議論を、計画の初期段階から並行して進めました。設計チームとしては、会で出た要望をすぐ形にして次の検討会へ出すなど、効果的な進行を心がけました。さらに、こうしたプロセスをスムーズに運営するために、設計担当者の他にワークショップ担当者を選任しています。学校と地域が共に学び育つ「地域共働型学校づくり」。2014年4月に開校した浄水北小学校は、「地域共働型学校」という新しい教育のあり方を、豊田市で初めて具現化した新設校である。地域共働型の学校づくりに対する考え方や設計計画、学校づくりのプロセス、そして中心的施設である「メディアセンター」について、株式会社東畑建築事務所名古屋事務所・副所長の瓦田伸幸氏、設計部主任技師の柱健太郎氏と設計部技師の久保久志氏にうかがった。豊田市立浄水北小学校JOSUIKITA ELEMENTARY SCHOOL所在地:愛知県設計:豊田市都市整備部建築住宅課  (株)東畑建築事務所学校教育と地域活動の連携による「地域共働型学校」。学校・地域・行政・設計者がコラボで学校づくりを推進。体験型プログラムを重ねて、地域共働型の学校を実現。東の中庭は、2つある中庭のひとつで、広いデッキテラスに子どもたちが遊び集う。校舎南側外観。子どもたちの活動の背景となる端正な佇まい。トイレの施工ワークショップでは、地域から募集したデザイン案を、子どもと大人が一緒にモザイクタイルで表現した。完成したトイレの壁面に貼られたモザイクタイル画。西の中庭は、地域開放時の休憩スポット、学童保育の外広場、読書広場として使う。05 NEW TREND

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