SCENE79
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大学の強みをアップする学食のキーワードは“食、色、飾”。学食の地域性は?味は、“食い倒れ”食文化をもつ関西のグレードが高い。ソースや漬け物ひとつでもこだわりがある。学食にもその文化が受け継がれ、例えば同志社大学のオムチキンハヤシは、かけられたデミグラソースにコクがあっておいしいということから、リピーターが多い。学食空間のおもしろい使い方は?学生が盛り上がるスポーツイベントを、学食で観戦できる大学もある。学食とコラボで「箱根駅伝」や「オリンピック」をパブリックビューで見ようというイベントをやると盛り上がるのでは。大学の特色を活かした食の話題は?例えば、東京農業大学の名物土産。学生自らが育てたお米で作った日本酒や、大豆で作った「農みそ」、飼育しているエミューの卵で作った「エミューの生どら焼き」などを販売し話題に。 ここ10年ほどの間に、学食はいわゆる食堂からカフェ・レストランへ、食事は量から質へ、メニューはよりバラエティー豊かに、安いだけでなくヘルシーさや味にもこだわり、さらには、一般の方の利用も増えてきました。背景には、食生活および外食形態の多様化や女子学生の増加などが考えられ、ごはんの量をS・M・Lと用意し、デザートも各大学独自の人気スイーツが目白押しです。 もうひとつの背景に、少子化に伴う大学全入時代を迎えて、大学が差別化の重要な要素として学食を位置づけていることがあります。基本は学業における差別化ですが、なかなか表に出にくいこともあって、各大学は、福利厚生のなかでアピール力がある学食の差別化に力を入れるようになりました。 また学食は、毎日通う学生にとっては満足できる食事と居心地のよい食環境を提供する場として、健康を気遣う親にとっては安心できる食事を提供する場として、関心が高いテーマとなっています。大学の学生食堂(以下、学食)が、おしゃれに様変わりしつつある。各大学は、メニューにこだわり食環境を整えて学生や受験生に“魅力的な学食”を訴求し、それが大学の特色のひとつとなる時代がやってきた。食事の味・値段・メニューの他に、ピーク時の混雑、施設のデザインや清潔性そして活用などについて、前号は学生利用者の早稲田大学学食研究会に、今号は学食研究家の唐沢明氏に話をうかがった。変わる『学生食堂』学食のアピール力は大学の差別化に不可欠。学食研究家唐沢 明 氏Akira KarasawaProfile:大学講師、就職コンサルタント、作家Q唐沢先生に聞きましたAQAQAQAvol.2しょくしょくしょく09 CULTURAL FILE

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