SCENE81
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 選択できる教養科目の幅が、共同化の実現で大きく広がりましたし、文系の府立大からみると、今までになかった医学系や理工系の科目が並ぶわけですから、学ぶ意欲や喜びも増したのではないかと思います。一例として、府立医科大が提供した「ラテン語」の科目が府立大ではとても人気でした。ラテン語は医学部では必要ですが、語学としては一般的ではありませんので、府立大生の目には新鮮に映ったようです。 学生たちの感想を聞くため、共同化教養科目の授業が始まった2ヵ月後に、府立大の教養教育センターがワークショップを催し、集まった学生たちに自由に話し合ってもらいました。「よい試みだが、そのよさが生かし切れていない」「工繊大が提供したエネルギー科学の授業は、三大学の学生が混じり合うようにグループ分けをしていてよかった」など、さまざまな声が聞けました。 三大学の取り組みが、どのように学生たちに受け止められ、専門教育も含めてこれからの学びの質や力にどう活かされていくのかに、私は大きな関心を持っています。京都三大学教養教育研究・推進機構では、教育内容の開発を行う「リベラルアーツセンター」や、実践データを分析・研究する「教育IRセンター」などの機関を活用して、学生たちの変化を検証していく予定です。 また、「稲盛記念会館」は北山文化環境ゾーン※に立地し、近隣には府立の植物園や総合資料館、そして京都コンサートホールなどがあります。府民の方たちが往き来するエリアですから、できるだけオープンな施設にしていけたらと思っています。そうなると三大学だけでなく府民との交流も想定され、より広がる学びの中で学生たちが新たな生き方を獲得できることを望んでおります。共同化の目的は、学生の交流から生まれる新たな学び。初めて受ける授業科目に、学生たちの意識が変化共同化を突破口にさらに広がる、学生たちの新たな学び※北山文化環境ゾーン:府民が憩う、文化・環境・学術の交流・発信の場として、京都府が北山地域に整備したエリア。5687NEW TREND 10

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