SCENE82
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 工業系・福祉系の大野東高校と商業系・家庭系の勝山南高校は、県立高等学校再編整備により、大野東高校へ一体化する形で統合されて、奥越明成高等学校となりました。機械科、電気科、ビジネス情報科、生活福祉科(生活コース、福祉コース)の4学科2コースを設置し、モットーは“地域に親しまれ、地域に信頼され、地域に必要とされる学校”です。前向きな論議や試行を重ねて総合産業高校という新たな形ができあがっていき、2014年3月には最初の卒業生が巣立っていきました。しかも、143名の卒業生のうち6割の就職希望者全員が職を得て、その4割が奥越に就職しました。この取り組みは成功したと言えますが、その裏には、地域の方々の労をいとわない大きな支えがあるのです。 4学科2コースの生徒たちは3年間持ち上がりですから、学科の結束は強くなります。これを縦糸に、横糸として学年会を設けて生徒間のコミュニケーションが偏らないようにしました。この学年会の集まりや学校祭の打合せなどを図書館で行っています。新しい図書館は明るく入りやすいので気軽に利用してほしいと思います。 各学科・コースでは、机上の勉強のみならず、1年生から専門実習が始まり、2年生で全員がインターンシップを経験します。例えば生活福祉科福祉コースは、「介護福祉士養成施設・介護員養成研修事業者」の指定を受けていて、2年終了時に介護員の終了証明書を手にし、卒業後ほとんどの生徒が介護福祉士の国家試験に合格します。これらの実習の大きな力となっているのが地域から招くプロの外部講師です。 また、生徒たちは、「大野市産業と食彩フェア」など地域のイベントや祭りに積極的に協力をし、行政の商工観光課などが企画する事業へ参加をしています。生徒たちがこういった場で体験することは、勉強している知識や技能がどう社会とつながっているかを知るうえで必要だと思います。そして、生徒たちの活動を地元の新聞が取りあげてくれることも、地域社会に知ってもらうという意味でとてもありがたく感じています。こうした期待に応えるために“地域を創り出す学校”という意識をもって取り組んでいきたいと考えております。地域の未来を共に創っていく「総合産業高校」多様な職業系学科を設けて地域に応える県立高校生徒が地域で体験することも大事な学びのひとつ福井県立奥越明成高等学校 校長竹吉 睦 氏Mutsumi TakeyoshiNEW TREND 12

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