SCENE82
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 蔵書量はすでに把握済みでしたし、基本は1クラス分の生徒が利用できるプランとして、要望書に載せる配置図を何案も作りました。要望書の作成と提出にあたって気をつけたことは、学校側が県の担当者に説明するために、“その内容を確実に理解してもらえるような”要望書を作ること。私たち司書が説明するわけではないからです。“なぜ、広くするのか、木製がいいのか、平湯モデルがいいのか”に始まり、“壁面書架は備品と同じ仕様にしたい”など家具についても詳しく記載しました。 県の担当者はとても協力的でしたし、委託された大野市の設計事務所にも平湯モデル家具の意図するところを理解していただきました。2011年9月に要望書を提出し、2012年4月に認可され、5月に設計図を提出という急な展開になり、私の原案を専門家に図面化してもらいました。このように、さまざまな方たちの理解と協力で要望が通ったのだと感謝をしています。 コミュニケーションエリアのオープンスペース部分は、現在、早朝に登校する生徒たちの休憩所や、お昼時に隣の購買でパンを買って食べる生徒たちのカフェスペースになっています。教室以外に生徒たちの居場所をつくりたいと考えていたので、ちょうどよかったと思います。 耐力壁については、県の担当者のアイデアで、耐力壁を覆う木格子の下に鏡を貼りました。写った手前の景色を格子の向こうの景色と錯覚し広く見えることをねらっています。また、耐力壁の一部を、テーマ展示スペースとして活用しています。興味の対象が多様になっていく高校生に注目してもらえるような展示に、これからもチャレンジしていこうと思います。スペースや予算などの制限があるからこそ、考えていろいろな工夫をしましたし、本当に必要なことを選別できたのかもしれません。 図書館は、話し合いの場も自分だけの場も持てるように家具を配置していますので入りやすく居心地のよいスペースとなり、利用する生徒や先生が増え続けています。87654周りの方たちの協力で鍵となる要望書を作成制約があったからこそ工夫してより良い場づくりをNEW TREND 14

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