SCENE82
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 男女平等の世の中で、今、女子大の意義が問われています。 一方で、“女性が活躍できる社会を”と政府は提言していますが、何もしないままでは永遠にそういった時代は来ないと思います。だからこそ私は、女子大が頑張って、社会で活躍できる卒業生を送り出していかなければならないと考えているのです。今の社会状況における男女共学では、社会の男女格差がそのまま大学へ持ち込まれ、男子がリードし女子が従う形が多くなり、女子は社会へ出てもリーダーにはなれないのではないでしょうか。女子大では、誰かがリーダーにならなければなりませんし、大学で経験を積んでおけば、社会でも活躍できると思います。 本学は、学生が多角的な視点をもつことを重視しています。ひとつは、男性側の一方的な視点ではなく女性側の視点が同じように大事だということ。もうひとつは、神戸の多角的な地域性に目を向けること。自然環境では六甲山に代表される山と神戸港に臨む海の両方が間近にあり、歴史的には港のある国際都市として東洋と西洋に開かれていました。こういった多角的な地域性に視線を向け、より幅の広い人間に育ってほしいと考えます。 学生生活をより充実させるために、文部科学省のGP※になぞらえて、本学独自の取り組み「松蔭GP」を2008年から始めました。学内公募制で、採用されると補助が付き、学生と教員が1年かけて取り組みます。本年度に採用されたプログラムのひとつに「Blue Earth Project」があります。元は、「女子高生が社会を変える」というテーマで取り組んでいた本学校法人が設置する松蔭高校の生徒たちの活動でした。その生徒たちが、大学入学後も活動を続けたいと願い、志を同じくする本学や他学の学生たちとNPOを立ち上げました。小中高生を対象としたBlue Earth塾や、環境問題などを話し合うエコカフェなどに松蔭高校生と共に取り組んでいます。 人間科学部生活学科のゼミが参加する「ユニバーシティ・カレッジ南九州」や「北陸カレッジ」も成果を上げています。JR西日本や地元自治体が実施する観光地の魅力を伝える企画に学生たちが参加し、若い目線から斬新なプランを作り、プレゼンテーションをする取り組みです。他大学も参加するなかで、「ユニバーシティ・カレッジ南九州」の最終報告会では最優秀賞を受賞しました。これは、学生たちが力を付けてきた証しではないでしょうか。 本学のシンボルであるチャペルでは、ヌーン・サービス※、チャペルコンサートや卒業生の結婚式など、さまざまな礼拝や行事が行われます。そこでは学生のボランティアが必要となります。聖歌隊やオルガン奏楽者、カフィーユ※、結婚式のブライダルキャプテンなど。これらは、奉仕の精神を学ぶ課外体験ですが、就職に有利というような甘い考えでは勤まらない女性がリーダーになれる、幅の広い実践的な教育を。神戸にある女子大という特性を生かす多角的な視点神戸松蔭女子学院大学 学長郡司 隆男 氏Takao Gunji「松蔭GP」や「ユニバーシティ・カレッジ南九州」でキャンパスを活性化厳しいボランティアで養うプロの技と奉仕の精神※GP:(Good Practice)学生教育の質の向上を目指す特色ある「優れた取組」。3211-4 7号館741教室/可動タイプのイスとデスクにより講義形式からグループワーク形式へのレイアウト変更が容易となっている。イス:ルッシュ、デスク:Tact、プロジェクター、マグネットスクリーン、教材提示装置、その他映像システム一式 2 グループワーク形式 3 フック付樹脂棚を装備 4 インタラクティブプロジェクター 5 2号館213講義室/講義デスク・イス:固定席SCF-5105-4特注品 266席、可動席 SCM-5505 4席403 CULTURAL SPACE QUEST

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