SCENE85
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 1956年に当時の値賀村と有浦村が合併して玄海町になってから、60年を迎えます。この間に何度か中学校の統合が協議されましたが、玄海みらい学園開校に向けた動きが始まったのは、1999年頃からです。2010年には有浦地区の3小学校が統合して有徳小学校が旧有浦小学校跡地に開校し、この時点で小学校と中学校は2校ずつになりました。 それから半年後有徳小学校の新校舎建設にあわせ、このまま2小2中でいくのか、もしくは統合して小・中一貫教育を進めるのかが話し合われ、最終的には、統合して小・中一貫教育を行う方向へまとめられました。私は、小さな町で小学校と中学校が分かれていて、“小学校を出た子どもが中学校でどのように過ごしているのかを、町内の先生たちが知らない”という状況は、不合理でなりませんでした。小・中一貫教育になればこの問題は解決するのです。 地域を廻って十分に説明を行い、小・中一貫教育について了解をいただいて、町にとってはかけがえのない学校「玄海みらい学園」が2015年4月に誕生しました。 新しい学校にとって、メディアセンターは、重要な存在です。人と話す時には自ら持っている情報が役立ちますし、それは本やパソコンなどから手に入れることができます。そして何よりも、本が与えてくれる世界では、紙の手触りと読む楽しさが味わえます。私は、中学生時代に学校図書館に入り浸って、本の世界を楽しみました。根っこにその体験があります。この体験を、たくさんの子どもたちにしてほしいと思っていました。 校内のどこからでも本が見えるように、メディアセンターを学校の中心に配置しました。内容やレイアウトを検討する段階で、30年ほど前にお世話になった平湯先生を思い出し、お願いしました。佐賀県職員だった私は、当時、私設の移動図書館車を週末に走らせていました。その時に平湯先生に出会い、図書館についていろいろと教えていただきました。 オープンで明るいメディアセンターは、子どもたちをいつでも迎え入れてくれます。しかし、壁がなく日射しがよく入るがゆえに、音や夏場の暑さなどの課題もあり、子どもたちが利用しやすい環境づくりをさらに進めていかなければと思っています。 “大人がしてくれることを待つ子どもたちが多い”という、今の日本の状況が気になります。読書によって自ら考え自ら実行できる人になることを期待しています。本は人間を自由にします。読書が子どもたちの人生を支える力になると信じています。※「平湯モデル図書館」:平湯モデルとは、家具づくりと部屋づくりで図書館の利用を促すように演出することです。これまでに導入された図書館は、利用者で溢れ、一人あたりの貸出冊数など、どこも全国トップクラスの実績を上げています。利用者の目線で考えられた、使いやすく親しみのある図書館。こどもも学校も、町も変わる図書館です。平湯文夫氏が、数多くの公共・学校図書館の新築・改修の計画・指導にあたりながら研究し築きあげてきました。念願の小・中一貫校の中心に、読む力を育むメディアセンターを設置。玄海町教育委員会教育長小栁 勉 氏Tsutomu Koyanagi平湯 文夫/図書館づくりと子どもの本の研究所・主宰、元長崎純心女子短期大学教授(図書館学)校内のどこからでも見えるメディアセンター。みらいホールでは図書館司書によるXmasハンドベル演奏を開催。ちかありうら地域で話し合いが重ねられ、ついに小・中一貫校が誕生読書の楽しさが味わえる、メディアセンターを中心にTHE TOPICS 12

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