SCENE85
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野口 “市民のための施設”が前提なので、市民の方が活動しやすい構成や内容にすることが大切です。また、文化芸術のジャンルは幅広いので、様々な活動に対応できるよう多様な場を用意しました。中でも大ホールは、発表のみならず興行的な場でもあるので、オーケストラなどプロの使用に耐えられる機能や設備を用意しなければなりません。特に音響には設計段階から配慮をしました。また複合施設なので、大ホールは3階にあります。機材などの搬出入には1階の方が便利ですが、設計上の工夫で可能な限り使いやすくしました。利用した方の「使いやすい」という声も聞かれます。江口 ちょっと別の視点から活用についてお話をします。1つは、練習室の壁をガラス張りにして、練習風景が外から見えるようにしたこと。外を通る人たちが興味を持ち、やってみたいと思ってくれるといいと考えました。2つ目は、座ってくつろげるオープンスペースを各階のあちこちに設けたこと。駅前にある劇場を、気軽に利用してほしいし、にぎわいにもつなげたいと思っています。安江 私も、興行があるときしか人が集まらないのではなく、ふだんから人々がいることが大事だと思います。また、劇場は開かれた場であることを、運営する側も技術スタッフも日頃から意識するようにしています。設計などハード以外に、利用者が相談しやすい雰囲気や使いやすい流れをつくるなど、ソフトの役割も重要ですね。しかし、大ホールは1000人、多目的ホールは300人もの人が入るのですから、最初から稼働率がよくならないのは当たり前です。将来に目を向けて、劇場へ来る人たちを育ててほしいと思っています。駅に近いせいか、高校生が勉強などに使う目的で来ていますが、今はそれでいいと考えています。そのうちに仲間ができて、劇場の雰囲気はいいしバンドでもやろうかということになるかもしれない。バンドスタジオも用意していますしね。若い人たちは居場所を見つけるのが早いし、知り合い活動する場になってくれるといいですね。他に児童合唱団や子どもたちのオーケストラも結成しました。ここで育った子どもたちの文化・芸術が次の世代に引き継がれて、地域の文化を築いていくことを期待しています。市民の幅広い活動に合わせて、使いやすい多様な場を用意1 多目的ホールで催された寄席 2 移動観覧席の展開時 3 移動観覧席の収納時 4 1階多目的ホール/移動観覧席・テレスコープスタンド: AHP-A8206特注品 175席、可動イス:AHC 25席、イス:テクス 180席13205 CULTURAL SPACE QUEST人と人をつなぐ地域創生

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