SCENE85
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安江 大ホールの音響や照明については、“ホールにとって大事なものは持つ、使わないものは持たない”という方針で整備しました。そして、市民の方が利用しやすい「過不足のないホール」となったのです。私の得意分野はオーケストラの企画や育成ですから、音響や照明については専門の方々からいろいろなアドバイスをもらいました。舞台は一般的なプロセニアム形式で、クラシックのコンサートにも対応できるように、音響に定評のある走行式音響反射板を採用しています。音響反射板を前後に動かして舞台を変化させることができるので、演劇やミュージカルにも使えます。すばらしい舞台技術スタッフを揃え、気軽に相談できる環境づくりをしているので、利用者の方からも「アットホームで使いやすい」と好評ですね。また、舞台は時間との勝負ですから、無駄なくフレキシブルに動けることが必要です。そこでは舞台技術スタッフと利用者との間の信頼関係が大事になってきます。ホールが3階にある不便さを、こういったソフト面でもカバーできるのです。市民の方には、このすばらしいホールを末永く使ってほしいと願っています。同じ場所を続けて使っていくと、いろいろなことができるようになります。そのうちに、私たちが想定しなかったような使い方が、できるようになるのではないでしょうか。野口 スタート時点としては、順調だと思います。大ホールは、現時点で週1回のペースで予約が入っています。他に独自イベントとして、「交流パフォーマンス」と「ホールお試し公演」を行っています。「交流パフォーマンス」は、1階の交流広場で催す公募制の演奏ミニパフォーマンスです。通りがかった方たちも気軽に楽しめますよ。「ホールお試し公演」も公募制で、大ホールと多目的ホールのモニター利用ができます。活動の成果発表や本番のリハーサルなどに使ってほしいですね。江口 運営を継続していくうえで大事なことは、「いいホールだね」と思うリピーターを、口コミで増やしていくことですね。私たち運営する側は、これからも専門家の方たちからノウハウを吸収し勉強していきたいと考えています。安江 “急に来館者は増えない”ということをまず受け止めて、地道に努力を重ねることだと思います。江口さんがおっしゃったように、「このホールはいいよ」とリピーターに選んでもらい、口コミで広げてもらうこと。宣伝で一番強いのは“口コミ” ですよ。「ホールお試し公演」は、他であまり聞いたことがありませんが、使ってみたいけど躊躇してしまう方が、最初の1歩を踏み出すのにちょうどいい機会ですね。大ホールの使い勝手がいいことを実感できたら、次には借りて発表しようという気持になれると思います。過不足のないホールを活かす、技術専門家と利用者の信頼関係地道な努力を重ね、口コミでリピーターを増やしていく4CULTURAL SPACE QUEST 06

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