SCENE86
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多目的ルーム1 「なちゅら」の主な外観の特徴は、目地が入った“存在感のある木材”と、大ホール外壁の“経年変化するコールテン鋼※”の対比です。どちらも、時間や自然環境によって変化する生きた素材であると考えています。 木材は、県産材のカラマツとヒノキを外壁や内装に多用し、ホールを支える重要な構成要素となっています。外壁はカラマツを使っていますが、赤みがやや強いこともあり、保護も兼ねて軽く白色塗装を施してあります。そして、木の存在感を際立たせるために、木材をぴったりと並べるのではなく、細かく割って間に目地を入れて貼り合わせています。また、屋根や外壁の基本的な構成単位は三角形で、それらを組み合わせて面の立体感が強調できるよう意識してデザインをしました。内部空間においても、視覚的な広がりを出すために壁を斜めに倒したりしています。 躯体はRC造、屋根の梁は一部が鉄骨造ですが、その鉄骨を木の構造材がサポートしています。雪下ろしをしない耐雪型の屋根のたわみを木によって抑え、鉄骨と平行な木の梁と壁まで斜めに下ろした木の方杖と柱が、鉄骨にかかる荷重を逃がしています。 コールテン鋼は、グレーからオレンジに、さらに経年すると赤から周りの自然と調和する深みのある黒褐色に変わっていくという魅力的な素材です。また、無塗装で使えるため、厳しい自然環境下でのメンテナンスをできるだけ減らすという意味合いもあります。対比が際立つ木材とコールテン鋼は、飯山の自然に耐え調和する素材34524 正面入口の案内表示/取り壊した古い集会所「飯山夢蔵」の廃材を活用。 5 大ホールの案内表示/廃材活用で、ナカミチという道に立つ標識をイメージしデザインされている。ロゴデザインは隈研吾建築都市設計事務所が担当。※コールテン鋼:鋼の表面に保護性錆を作り、本体が腐食するのを防ぐ耐候性鋼。建築では商品名であるコールテン鋼やコルテン鋼と呼ぶことが多い。1階 館内マップCULTURAL SPACE QUEST 04

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