SCENE87
13/36

公立学校の年度別廃校発生件数全国の廃校数活用用途が未定の廃校数の推移廃校施設の主な活用用途(複数回答、平成14年度~平成25年度)小学校3,78865.3%中学校1,08918.8%高等学校92415.9%5,801校(注)平成14年度から25年度までの累計数資料:文部科学省「廃校施設活用状況実態調査」(平成26年5月)資料:文部科学省「廃校施設活用状況実態調査」(平成26年5月)資料:文部科学省「廃校施設活用状況実態調査」(平成26年5月)資料:文部科学省「廃校施設活用状況実態調査」(平成26年5月)学校(大学を除く)社会体育施設社会教育施設・文化施設福祉施設・医療施設等企業等の施設・創業支援施設庁舎等体験交流施設等備蓄倉庫大学住宅05001,0001,5001,37985662337530427919172301538.4%23.9%17.4%10.5%8.5%7.8%5.3%2.0%0.8%0.4%校校平成14年度05010015020015161718192021222324252625725266608095122971891970100200300400500600700校平成14年15年16年17年18年19年20年21年22年23年24年25年22967453412708266418379117895853147065449247731064262767611446627287101460334881095313691147756033394584854191176259834610432482中学校高等学校小学校 少子化という全国的な状況以外に、地域にはそれぞれ特有の社会状況があります。そのキーワードは、「過疎化」「都市化」「高齢化」です。「過疎化」は地場産業の衰退による急速な人口減少、「都市化」は住宅の郊外移転による都市部の人口減少、「高齢化」は高齢者が増えて相対的に児童・生徒数が減少する状況を言います。ですから、地域の教育文化のシンボルである学校は、都市でも地方でも全国で廃校となる可能性があります。 私は、長年そこで生活し学んできた「学び舎」をなくすことは、地域の教育文化を捨て去ることになるのではと危惧しています。ここで紹介する札幌市立盤渓小学校は、廃校リニューアルではないのですが、創立90年を超える山の中の「学び舎」を存続させたいという地元の熱意で、廃校の危機を乗り越えました。児童数が減った盤渓小学校は、小規模特認校制度※を選択して学区外からも児童を受け入れることにしました。“自然の息吹の中で豊かな人間性を育む”を教育目標に、現在も全校で100名を超える児童が通っています。 利用価値という視点から見ると、学校は地域で最も安全で行きやすい場所に建っていて、住民全員が認知し、規模も大きい施設です。それを活かした利用法がもっと考えられてもいいと思います。例えば、デパートのような発想をしてみたらどうでしょう。役場、郵便局、福祉施設、図書館やコンビニなどを廃校に集めたら、使いやすいのではないかと考えています。こうした日常生活に必要な施設をひとつの場所に集める方法は、高齢化率の高い地方では特に有効だと思います。 建築的な面から見ると、学校の基本的な構成は、四間×五間(7m×9m)の教室空間を単位に連続して構成され、天井高は3m以上あります。また、校庭やグランドなど外部空間が広く、体育館・プール・特別教室なども併設しています。活用先は、教育・文化施設が一般的ですが、宿泊施設や介護施設なども可能で、地域の目的に合わせてもっと幅広く考えてもよいと思います。 リニューアル後に施設を長く使い続けるには、維持管理や設備の更新を安定して行える体制づくりが重要になります。維持管理については建物の継続的な補修が、設備の更新については水道・電気をはじめ調理器具など特別な備品の更新が必要となるでしょう。その費用をどこからどう生み出すのかを考えなければなりません。 例えば、地域に必ずある「道の駅」では、地元の産物を売ったり、料理して食べさせたりします。様々な補助金、自治体の一般財源、地域住民の出資などの他に、「道の駅」の売上などでまかなっています。他に、オフィスや工場などに貸し出す、企業が買い取ってプロジェクトに活用するなど、財源を得る方法はいろいろありますが、地方自治体からの安定した投資がより重要になると考えています。全国で失われていく、教育文化のシンボルである学校リニューアル施設の継続には、財源確保や体制作りが必要学校特有の利点を生かして、地域に合わせて再活用※小規模特認校制度:自然環境豊かな小規模校を中心に、離れた地域からでも入学できる学校の運営体制。主に全校の学童・生徒が100人以下の学校で行われ、独自教育を行っている学校も多い。ばんけい次回は、リニューアルの実例と重視点について紹介します。CULTURAL FILE 12

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る