SCENE87
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大ホール「ザ・グランドホール」「六ツ門テラス」商業施設展示室「六角堂広場」「カタチの森」上空連絡通路配置図[8番街区][9番街区]国道大階段4F 小ホール「Cボックス」3F 中ホール「久留米座」商店街アーケード2F1FN → → → → → → →市道市道 → 「久留米シティプラザ」建設の背景には、2つの重要な課題がありました。ひとつは、長年の懸案だった「久留米市民会館」の建て替えです。1969年に開館した市民会館は老朽化し、照明や音響などの機能も利用者の要望に応えにくい状態でした。その後、久留米市が市町村合併をした際に、合併特例債※を予算に充てることで建て替えが本格化しました。 もうひとつは中心市街地の再活性化です。久留米市は福岡県南部の中核都市であり、久留米シティプラザが建つ中心市街地は、JRと西鉄の久留米駅に近く2つの国道が交差する立地なので、昔から賑わっていました。しかし近年は、郊外に大型店舗ができたり8番街区にあった百貨店が撤退したりして、商圏が変わってきました。そこで、もう一度街の賑わいを取り戻すために、市と中心市街地の地権者の方たちが中心となって再開発事業がスタートしたのです。 そして2012年には、「六ツ門8番街地区市街地再開発組合」が発足し、市は組合と連携して、設計というハード面だけでなく、管理運営というソフト面でも、約100名の市民が参加して、5つの分科会で利用や管理に関する検討を重ねてきました。 10年~20年後を見据えた久留米シティプラザの基本計画は、「文化芸術の振興」「広域交流の促進」「六ツ門地区の商業」「賑わい交流」の拠点という4つの機能を併せ持ち、久留米の求心力を象徴するランドマークになるような施設づくりです。広域交流は、国内外の学会などコンベンションを中心とした交流で、その開催の受け皿としての利用を考えています。 ホールに関しては、プロの興行から市民の利用まで、さらにはコンベンションへの対応も考えて、大・中・小の3ホールを設けて各ホールに特色を持たせることにしました。大ホールは優れた音響性能が生きるコンサートを、中ホールは演劇や舞踊を、小ホールはリハーサルや多様な市民利用などを想定しました。そして大事なことは、市民の方たちに積極的に使っていただくことだと思います。 全天候型で吹きぬけ空間の「六角堂広場」については、憩いの場としても利用していただきたいと思います。また、イベント開催はもちろん、子どもたちや若い家族の利用にも力を入れていきたいと考え、誰でもが気軽に立ち寄れる「カタチの森」というスペースを設けました。堅苦しい場にはしたくなかったので、アートユニットの「tupera tupera」に内装をプロデュースしてもらい、カフェや授乳室やトイレを備えた楽しい空間にしました。連日、ベビーカー世代で賑わっています。 市の中心部に、生活や働きの場、公共交通そして文化・芸術の機能などの“住みやすい基盤”をコンパクトに整えることが、これからの久留米市には必要です。市民の方々と力を合わせて、魅力と賑わいのある街づくりをしていきたいと考えています。中心市街地の活性化と文化・芸術の創出を担う新たな市民の文化・交流拠点「久留米シティプラザ」。旧市民会館の建て替えと中心部の活性化を同時に実現3つのホールや広場を活用して、市民にとって魅力ある街づくりを久留米市市民文化部久留米シティプラザ副館長宮原 義治 氏Yoshiharu Miyahara※合併特例債:「平成の大合併」時に設けられた財政支援。公共施設建設などの事業の95%まで充てることができ、返済額の7割を国が負担する。03 CULTURAL SPACE QUEST

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