SCENE87
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東西断面図(北側の国道から見る)六角堂広場上空連絡通路ザ・グランドホール久留米座9番街区市道8番街区 2012年の設計者選定公募プロポーザルの選定時には、4つの拠点機能を満たした上で、道路を挟む2街区の敷地を繋ぎ、地域のランドマークとなることを求められました。また、それらの課題に設計者としてどう取り組むのか、その考え方や対応が重視されました。 地上6階建ての久留米シティプラザは、市最大の文化施設になります。他と全く異なる建物を作りランドマークとして目立たせるという考え方もあるなかで、私たちは「中心部の街並み全体が美しくなるきっかけをつくる。つまり他の施設を計画する際の今後の規範になるような建物をつくること」を提案しました。 まず、大きな文化施設を人間のスケールに合わせることを考え、外壁面の長大なファサードを水平に3分割して圧迫感を抑えました。そして、真ん中の壁面をレンガ積みの意匠にして、それを街並みの骨格における水平方向の規範としました。素材をレンガにしたのは、久留米市内にはレンガ造りの建物が多かったからで、つい最近まで市内にレンガ工場もあったのです。RC構造の周りにレンガを積み上げていて、タイル貼りにはない重厚感が出ています。 ランドマーク機能としては、2街区間の通りに「中心を示す特徴のある上空連絡通路を架ける」ことを提案しました。これは、“通りを挟む2街区の敷地を繋ぐ”という課題をクリアする手段でもあったのですが、交差点側に弧の中心を持つ凹面のガラス壁を持たせて、建物が交差点を広場のようにつつむ形をつくりました。3つのホールへのメインゲートは六角堂広場から上がる大階段で、この上空連絡通路を渡ってホワイエへ行けるようにしました。街並み再生の基準を建築で体現し文化・芸術の創出をホール機能でサポート。1 中ホール「久留米座」/演劇、舞踊、コンサートなどに適する。1階席の両脇にゆったり鑑賞できる枡席を設置。 2 小ホール「Cボックス」/演劇、ダンス、音楽などの公演やリハーサルに適する。床の高さ、舞台や客席は可変で、多様な使い方が出来る。 3 「カタチの森」 4 外観/北側国道から見る。水平方向に並ぶレンガ積み壁面が街並みの規範をつくっている。1234再生する街並みの骨格をレンガ積みファサードで表現香山壽夫建築研究所設計主任長谷川 祥久 氏Sachio Hasegawaphoto 1.2:大竹央祐CULTURAL SPACE QUEST 04

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