SCENE88
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 リニューアルの手がかりとして、重視したい4つの視点を紹介します。■1メモリアルな姿で残す まず、校門、昇降口、黒板など、存続してきた“学校の記憶を思い起こすもの”を残すことです。そして、学校とは全く機能が異なる施設にする場合は、地域からアイデアを募集するなどして、みんなの記憶に残るような施設に生まれ変わらせることでしょう。アイデアを全国から公募する方法もあります。■2維持管理が継続的に行える体制を整える 分かりやすいように、分譲集合住宅の例から体制づくりについてお話します。分譲集合住宅では、建築の区分所有等に関する法律により管理組合を作って維持管理費や修繕費を積み立てて活用することが義務づけられています。学校にはそのような法律の適用はありませんが、地域で組織を立ち上げて日頃から積み立てていけば、廃校後も改装費や維持管理費が確保されるのではないでしょうか。■3学校施設の特徴を生かす 第1回では学校の建築的な特徴や活用の基本について述べました。ここでは、今後の課題として廃校施設の“複合化”や“減築”について触れてみたいと思います。複合化する場合は、複数の施設が有機的に利用できるように、改修におけるコンセプトや設計上の工夫が必要になります。例えば入口については、様々な施設が集まるので、利用者にとって見通しの良い空間づくりをしたいですね。また、多くの利少子化による児童・生徒数の減少や平成の市町村合併などの影響により、公立小・中・高等学校の統廃合が全国で進められている。2014年5月時点で全国の廃校数は5,801校に上り、毎年400~500校発生している現状がある。この状況に対処するため、廃校施設を活用して地域の活性化に繋げる取り組みが全国で進められている。リニューアルの実例を紹介しながら、文部科学省が行った「廃校施設の実態及び有効活用等調査報告書」で委員を務めた情報環境学科の吉村彰氏に再活用についてうかがった。地域が選ぶ、廃校の再活用と学校の存続。廃校リニューアルポイントを押さえて、無駄のないリニューアルをvol.2東京電機大学情報環境学部情報環境学科建築デザインコース 教授吉村 彰 氏Akira Yoshimura「大子おやき学校」給食室(食堂)11 CULTURAL FILE

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