SCENE88
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乳児室乳児室乳児室昇降口保育室保育室保育室昇降口職員室保育室保育室保育室保育室保育室保育室会議室メディアセンターピロティーピロティー←→正門地域支援室家庭科多目的室交流室交流室体育館教室教室教室教室教室教室教室中庭中庭低学年用図書室職員室職員室昇降口昇降口小学校グラウンド保育室保育室保育室保育室保育室保育室保育室保育室保育室乳児室乳児室乳児室園庭プール遊戯室音楽音楽理科理科図工メディアセンター会議室教室教室教室教室教室教室教室教室教室教室教室教室教室地域使用可能・交流エリア地域使用可能・交流エリア←→こども園こども園小学校小学校1F平面図2F平面図子どもたちの活動と地域のサポートを支える、多様な施設計画とハイブリッド構造。たいという意見も多く聞かれました。これらを踏まえて、1階は小学校とこども園を分離し、2階は交流スペースで繋ぐ施設計画にしました。 また小学校には、地域開放と地域の防災拠点という役割があります。新施設の正門はひとつで、入ってすぐ左手に地域開放ゾーンを設けました。体育館は、校舎の隅に配置されることが多いのですが、今回は、校舎の中央に計画しています。地域開放や防災拠点の意味合い以外に、子どもたちが “屋根のある広場”として自由に使えるようにというコンセプトもありました。 教室については、周囲の景観と調和する設計を心がけました。横向きに繋がっていく従来の教室は、外からは壁のように見えます。寺部小学校では、特別教室などを縦向きに配して分節化し、周辺の住宅地のスケールに合うように配慮しています。また、多くの教室にハイサイドライトを採用し、一方向からの採光ではなく、均質な光と風通しが得られるように計画しました。 基本計画時に今計画と類似の合築施設を見学しましたが、小学校とこども園は、事業の運営時間や目的が異なり、合築しにくい施設だと思いました。しかしワークショップでは、子どもたちの成長を見据えて小学校とこども園の交流を進め無難と考えられ、ワークショップではその意見が主流でした。最終的にフェンスは地上部に設置されましたが、2階部分は、子どもたちが行き来できるように接続されることになりました。子どもたちは成長して多くが隣の小学校へ行きますし、やはり園・小連携という発想も必要となります。 また、学校と地域の連携については、可能なことのひとつに「地域の歴史や知恵を学ぶ」があります。自分の街にある歴史的な題材を総合学習に活用できると、地域と学校の接点は増えていくと思います。 私は、ワークショップで大事なことは、参加した地域の方々が話し合いを通して「共有感」を持つことだと考えています。参加者の約8割が寺部小学校卒業生だったこの地区の方々は、移転・改築計画がもち上がったことで、学校と地域の関係を見つめ直すことになりました。大変な作業もありましたが、将来につながる地域コミュニティのシンボルとして、学校を再確認するいい機会だったのではないでしょうか。2016年4月に開校・開園した寺部小学校・寺部こども園は、豊田市の「学校と地域の共働」プロジェクトのひとつである。新施設の移転・改築先は、豊田市西部の住宅地と田園地帯が重なるところにある。そして、小学校とこども園を同一敷地内に合築するという市で初めての試みが行われた。2012年から地域と連携して始まったこの合築計画について、建設委員会アドバイザーの名古屋市立大学教授・鈴木賢一氏と、設計担当の(株)青島設計室長・旗手康信氏にうかがった。園・小の交流を視野に入れ、景観にも配慮した施設計画株式会社青島設計第四設計室 室長旗手 康信 氏Yasunobu HatateNEW TREND 08

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