SCENE89
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※平湯モデル:元長崎純心女子短期大学教授(図書館学)の平湯文夫氏が、数多くの公共・学校図書館の新築・改修の計画、指導にあたりながら研究し、築き上げた図書館モデル。家具づくりと部屋づくりで利用を促す演出により、一人あたりの貸出冊数など、どこも全国トップクラスの実績を上げている。図書室の入り口すぐの展示台には、自然豊かな能勢町の四季をテーマにしたディスプレイ。子どもたちを館内に誘い込みます。司書と教員との連携でダイナミックな学習を目指すSPACE QUEST 02NOSE ELEMENTARY SCHOOL & NOSE JUNIOR HIGH SCHOOL小学生347人と中学生237人が通う丘の上の新校舎。校舎の窓からは、四季折々に豊かな自然が一望できる。能勢ささゆり学園 能勢小学校・能勢中学校所在地:大阪府 施主:能勢町設計:株式会社大建設計 情報学習センターの図書室は、旧小中学校から選りすぐった約2万冊を所蔵し、入室した瞬間に木の温もりが子どもたちを包み込んでくれる。「書架は旧学校のものを利用する予定でしたが、教育長にお願いして平湯モデル※の導入がかないました」と後藤校長。休憩時間や放課後には、調べ学習のエリアで本を読んだり宿題を教え合ったり、ドーナツベンチで絵本を読む子どもたちの姿が見られる。自ら学びたい、勉強したいという子どもたちの意欲を盛り上げる図書室になったと両校長の評価は高い。 さらに図書室の奥には、ガラスパーティションで仕切られた自立学習室がある。パソコンを配備した40席のブースは、個別学習に集中できる場となっており、放課後に週2回、中学生を対象にした「自立学習塾」を開催している。これは後藤校長が教育委員会在任中に試行して同学園に導入したもので、費用は民間の学習塾に比べて格段に安く設定。映像授業を活用して個別の習熟度に合わせた学びを実施している。 学校図書館には「読書センター」「学習センター」「情報センター」という3つの機能が求められるが、図書室と自立学習室を備えた情報学習センターは、それらを満たす十分なインフラであることがうかがえる。さらに、同町初の学校司書として石塚成子氏が着任。「子どもたちを入り口で迎え入れるディスプレイといい、利用しやすく工夫された配架といい、石塚先生のおかげで図書室の魅力が引き立っています」と萱野校長。今後、各教科における学校図書の活用や情報教育との連動などダイナミックな学習を展開することで、子どもたちが自立し社会で生き抜く力を養成する。それが両校長にとって最大の課題とのことであった。11

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