SCENE89
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[上/下左]小ホール/大ホール同様、壁面には集成材をランダムに配置。舞台背面の遮光パネルは可動式で、中庭の風景を演出に取り入れることもできる。ホール客席:ATS-1351DR特注品 202席 [下右]1階 小ホールホワイエ/ベンチ:特注品イメージして茶系4色の張地を配色し、天井は星空に見立ててランダムに照明を配置しています。さらに壁面の木の温もりが相乗され、自然の中でリラックスして鑑賞しているかのような効果を狙っています。 座席は、座り心地にこだわって、座や背の角度、クッションの硬さなど何度も検証しながら進めました。特徴的なのが2階席の座席です。2階席は、実際のフロアでいうと3階となり、高い位置から舞台を見下ろすことになります。自然な姿勢で下方向を見ることができるよう検討した結果、採用されたのが背の角度を垂直にすることでした。背のクッション自体に適度な傾斜がありますので、背板の角度が垂直でも違和感なく体にフィットします。また、座面に対して鉛直方向に体重がかかり、体が滑らず良い姿勢のまま観覧でき、疲れにくいという効果もあります。 小ホールは、シューボックス形式で、約200席という手頃な客席数のため市民が気軽に利用できます。舞台背面の遮光パネルを開けると、中庭と一体化して全く違う表情の空間になります。壁面に、杉の板をランダムな角度で貼り付けることで、大ホールと同じように良質な音響効果が得られるため、コンサートや室内楽など音楽ホールとしての利用に適しています。 大規模建築だからこそ、その地域で育まれた材料を使っていくことが重要だと思います。生きた素材だからこそ、時とともに表情を変えながら風土になじみ、風合いも響きも成長するホールとなっていくことを期待しています。(株式会社日建設計ヒアリング)豊中市立文化芸術センター所在地:大阪府 施主:豊中市設計:株式会社日建設計08

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