SCENE91
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図書館との有機的なつながりで、多様な学習スタイルの可能性を追求。30年前にキャンパスの開設とともにできた所沢図書館は、100号館4階に位置し、中庭に面して「コ」の字型をしています。開館当初から開架図書エリアとして使用していた空間を改修して作ったラーニング・コモンズは、「対話型、問題発見・解決型教育への移行」に対して図書館がどのように寄与すべきかという観点から、新しい図書館のあるべき姿を提示したものでもあります。開架図書エリアと遮音ガラス越しに配置した「個人学習エリア」は、個人学習や読書はもちろん、備え付けPCを用いた学習やAV資料を視聴できるよう各種機器を設置しています。そして開架図書エリアから離れるに従い、少人数から大人数の学習エリアへと移行。少人数の討議に適した「オープン・エリア」には、可動式の3人掛けテーブルとイスに加え、ファミリーレストランタイプのソファとディスプレーを設置し、持ち込んだPCやタブレット端末を接続して映し出せます。あえてオープンなスペースとすることで、適度に他者の存在を感じながら仲間とディスカッションできる空間です。「プレゼンテーション・エリア」はプロジェクターを常設し、ゼミの発表やプレゼンテーションの予行練習に利用できます。壁面は全面ホワイトボードとなっており、可動式のテーブルとイスを自由に移動・配置することで、本番のゼミ発表や講演会等の催しにも対応します。2室ある「グループ学習エリア」も可動式のテーブルとイス、壁面のホワイトボードを採用し、活発なディスカッションやブレインストーミングに活用。いずれも視線を遮らない全面ガラスの間仕切りを採用することで、明るく開放感のある空間に仕上がりました。多様な学習活動が互いの視界に入ることで、刺激し合いモチベーションを高める効果も期待できます。また、グループ学習の合間に活用できる「リラックス・エリア」には、のんびりくつろげるソファを設置し、グループ学習エリア1の一角にも木製のスツールを置いて、ガラスの窓越しに自然の移り変わりを楽しむ癒しの空間としました。さらに中庭は「オープン・エア・コモンズ」と位置付け、図書館・屋内のラーニング・コモンズと一体化した空間として、屋外での読書や思索にふけることができます。自然が豊かな所沢キャンパスならではのラーニング・コモンズといえるでしょう。所沢図書館には、人間科学学術院・スポーツ科学学術院の研究・教育に対応した専門書、学術雑誌のほか、広く利用者の一般教養に資する図書・雑誌が収蔵されています。中央図書館をはじめ4つのキャンパス図書館で構成される早稲田大学図書館は、全国の大学図書館の中でトップクラスの蔵書規模を誇っており、授業や研究テーマに関連する資料には事欠かない、あらゆる学術資源が揃った知の集積地です。しかも、2020年度を目処に日本で初めて慶應義塾大学と図書館システムの大学間共同運用が始まる予定です。これにより学生は膨大な選択肢の中から、居ながらに欲しい資料を検索し、取り寄せることが可能です。今まで図書館の利用といえば、静寂な空間のもと、個人で資料を読む、借りることが中心でしたが、所沢図書館内にラーニング・コモンズを設置したことにより、資料を手軽に手元に取り寄せ、仲間とプレゼンテーションの準備やディスカッションをしたり、ゼミや論文の資料を作成することができます。図書館とラーニング・コモンズとが有機的につながることで、より質の高いアクティブ・ラーニングが期待できます。開架図書エリア図書館事務室2WC図書館事務室1中庭オープン・エア・コモンズグループ学習エリア2グループ学習エリア1個人学習エリアリラックス・エリアプレゼンテーション・エリアサポート・エリアオープン・エリア入口開放閲覧室ラーニング・コモンズ平面図08

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