SCENE93
15/36

図書室/平湯モデル図書館家具(一部移設家具)常に“子どもたちの図書館”を意識した、選書・配架作業いなべ市立藤原小学校・中学校所在地:三重県 施主:三重県いなべ市小学校増築・中学校改修 設計・監理:株式会社石本建築事務所一方、蔵書が充実していなければ、人間性を育てる場である図書館としての十分な機能を果たすことはできません。そのため、5つの小学校が所有する図書を、新図書館へ引越し・配架する際に重要となるのが選書でした。除籍にあたっては、各小学校の図書を重複することなく最大冊数を引越しさせるため、出版年数は2000年以降のものを原則とし、蔵書を全てリスト化した後にデータ上で選書作業を行いました。さらに、複数の小学校で重複する図書は最も状態の良いものを選ぶため、写真を撮って確認したり、現場に何度も行って直接確認しました。関係者一同、図書の引越しは初めての経験であり、作業日程がどれだけ必要かといった基本事項さえわからず、選書作業も苦労の連続でした。しかも、元中学校の図書館を改修するため、一定期間の閉館が余儀なくされます。そこで事前に念入りな配架の計画を立てることで、少しでも閉館する期間を短縮できるよう努めました。無事、開館にこぎつけることができたのは、関係者や整備員の皆さんの協力とチームワークの賜物だと思います。そして何より図書館が開館するのを心待ちにしている子どもたちに、一日も早く利用を再開させてあげたいという思いの強さが支えとなりました。調べ学習エリアと楽しみ読みのエリアがはっきり分かれた新図書館のレイアウトは、子どもたちにも使いやすく、交流のきっかけにもなります。現在、いなべ市では読み聞かせから一歩前進し、自ら読書をする子どもを育てる取り組みとして、本への興味を喚起し、本を読む楽しさを知ってもらう「ブックトーク」を開催しています。これは現状、図書館コーディネーターが実施しているものですが、いずれは家庭、地域でも取り組んでもらえるよう啓発に努めたいと考えます。新しい図書館で学校・家庭・地域が一体となった小中一貫教育を推進し、地域全体で子どもたちの成長を見守っていけることを願っています。14

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る