SCENE96
4/36

SPACE QUEST 01NANZAN UNIVERSITY RAYMOND RENOVATION PROJECT南山大学 副学長(総務・将来構想担当)青木 清 氏Kiyoshi Aoki南山大学 大学事務部長福田 尚登 氏Naoto Fukuda南山大学 企画渉外係長山口 洋平 氏Yohei Yamaguchi歴史の中に埋もれつつあった、レーモンド建築の価値を再認識2017年、本学は全学部・学科を名古屋キャンパスに統合し、 新たな研究・教育棟としてS棟およびQ棟、食堂棟「リアン」が完成しました。これに伴い2017年度から始まったのが、老朽化した既存施設の内外装改修、安全性・利便性向上のための整備計画「レーモンド・リノベーション・プロジェクト」です。プロジェクト名の由来は、本学キャンパスの設計者であるアントニン・レーモンド氏にあり、その名を冠することで学生・職員、卒業生に改めて彼の偉業を再認識してもらうとともに、アントニン・レーモンドを知らない学生にもその価値を伝えることを意図しています。著名な建築物を数多く設計したレーモンド氏ですが、本学キャンパスについては基本計画から設計監理まで全体計画を完全に自らの手で行いました。当時キャンパスのある八事地区は自然豊かな丘陵地だったことから、そのままの地形とその土地に根付いた植物をできる限り残す「自然を基本として」を設計思想としています。建物全てに鉄筋コンクリート打ち放しを採用したのも、虚飾がなく構造そのものをデザインとする打ち放しが、自然と共存するのに最適だと考えたようです。南側の広い壁面には太陽光を和らげる水平のルーバー、西の壁面には西日を遮る垂直のルーバーが適度な角度で設置されており、打ち放し部分にはコンクリートの風合いを残しながら、レーモンド氏がキャンパスの土を見て決めたという赤土色の彩色が施されています。装飾のない壁面にデザインと機能を改修前のG-30/[上左]ステージから教室全体を見る。 [上右]すべての教室が自然光のみで授業が可能であった。 [下左]ステージ上を見る。 [下右]G30エントランスキャンパス統合による新研究・教育棟の整備とともに進む「レーモンド・リノベーション・プロジェクト」の意義について、副学長の青木清氏と大学事務部長の福田尚登氏、企画渉外係長の山口洋平氏にお話をお聞きしました。03

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る