SCENE97
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学習者の主体性が発揮できる空間設計河合塾 横浜校とドルトン東京学園は、対象が異なりますが、設計においてはいずれも「学習者の主体性」をサポートする多様な空間を設けている点で共通しています。横浜校はそれを「CHOICE」という設計コンセプトで表現しました。予備校では珍しい「ラーニングコモンズ」を設けたのも、学生の皆さんが新校舎に自分の居場所をつくり、長時間過ごせる場にしてほしいという河合塾様のご要望に応えたものです。これにより講義で緊張、集中するだけでなく、ラーニングコモンズを活用して講師や学生同士が議論したりコミュニケーションがとれることで、 滞留時間の増加につながるものと考えます。校舎に隣接し新設された学生寮も同様の意図で寮内にラーニングコモンズを設け、オンオフを切り替えながらニーズに合った使い分けができるようにしました。また、2フロアにまたがる大空間に800席を有する「自習室」は、個人学習用キャレルデスクを一律に並べた一般的な構成ではなく、集中力を高める個別ブースがあるかと思えば、ベンチソファーを置いたり、カフェのような空間を作るなど、学生の皆さんが自分に合った学びのスタイルを「CHOICE」できる、多様な場を用意しました。ほかにも「免震構造」で太陽光電池と蓄電池、備蓄倉庫を備えた安心・安全な校舎であること、照明は体内時計に合わせ、午前の早い時間は覚醒感を高める白色系、午後から夕方にかけては電球色に移行できる「調色・調光照明」とするなど、最新の構造・設備を備えているのも大きな特徴です。次いでドルトン東京学園ですが、こちらも学習者中心の「ドルトンプラン」が実践できる場となるよう、多様な学びや交流が生まれる仕掛けのある校舎となっています。教室も一律ではなく、個人、数人、グループ、大人数と、人数により変化する多種多様な学習環境を作り、それらを同心円状に点在させシームレスに株式会社松田平田設計総合設計室インテリア設計部 主管インテリアプランナー井上 敬三 氏Keizo Inoue株式会社松田平田設計総合設計室第四建築設計部/FFC 主任一級建築士野呂 学 氏Manabu Noro株式会社松田平田設計総合設計室インテリア設計部インテリアプランナー古澤 美登里 氏Midori Furusawaつながる空間を創出しました。これにより、少人数のグループ学習の後、図書館で資料を探し、 個々の調べ学習に移るといった具合に、学習者もまた学習スタイルをシームレスに変化させながら学びを深めていくことができます。各空間の内装についても「森」を共通のテーマに、それぞれ異なる色彩計画とインテリアで創造力を刺激します。また、光温熱環境については、横浜校同様の調色・調光照明を採用したほか、教室で空調された空気をラーニングコモンズの空調として再利用する「カスケード空調」を採用。教室の「うち」とラーニングコモンズの「そと」の2つの環境を作り、「うち」は安定的な光温熱を維持し、「そと」は光/熱/風が異なる多様な環境を創出することで、生徒が自分に合った居場所を自発的に選択できるようにしました。河合塾 横浜校、ドルトン東京学園ともに、河合塾グループ様の理念を体現し、新しい時代を担う学生、生徒の皆さまの夢を支援する場となることを心より願っております。ローレルハウス横浜(男子寮・女子寮) ラーニングコモンズ/生活の場となる寮にも「ラーニングコモンズ」を設けて、学生同士のコミュニケーションや学び合いの場としている。イス:デューン、テーブル:特注品SPACE QUEST 02KAWAIJUKU GROUP09

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