SCENE別冊「コモンスペース特集」
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 人の出入りが多い1階は、ショーケースとしての特徴が最もよく表れています。授業、講座やイベントなど、行事に合わせた特徴的な環境づくりをしています。ガラスを通した“見る、見られる”空間では、学生、教員ともに緊張感を持って授業を行うことになり、これもICCが目指す教育的効果のひとつです。 例えば4面ガラス張りの「プレゼンテーションホール」は、あらゆる方向から視線が集まり、催事を見た地域の方から反響があるかもしれません。2面ガラス張りで海外の授業をオンタイム受信できる「ディスタンス・ラーニングルーム2※」は教壇に向かって座席が階段状に下っており、教員に学生の視線が集中して迫力ある授業が期待できます。 1階の中庭は、ICC全館を回遊する動線の交差点です。中庭に面したバルコニーが階段状に張り出しているので、吹き抜けた2階以上のどこからでも人の動きが見えます。この計画が多様な動線と溜まり場をつくり、人々の交流を活性化したのです。また、大きな軒下空間を持つ1階のウッドデッキは、劇場空間としてイベント活用も想定しています。 こういった教育空間には、学びの多様性に対応するフレキシブルファニチャーが必要です。当初から、1階の空間には、利用者が使い方を工夫できる家具が適していると考えていました。例えば、アクティブラーニングを想定した「7i・ステーション」には、“アイランド”と呼ぶ学習ゾーンを4ヵ所に設置しています。机上で書き込んだホワイトボードを吊したり、スクリーンに映し出したりと機動的な学習が行えるように、さまざまな仕掛けを各アイランドの天井に組み込んでいます。家具は自由に動かせますが、AV等のターミナルとなる家具はアイランドの中心に配置し、それを基準に可動家具を定位置へ戻せるようにしています。こういった学習や作業をフレキシブルに行うために、机やホワイトボードな312視線が集まる空間は、人と人の関わりを活性化する※ディスタンス・ラーニングルーム2:インターネット電話で海外とライブ討論ができるなど、遠隔地授業の定刻受信装置を備えている。使う人たちが自ら工夫して、積極的な空間づくりを05 COMMON SPACE

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