021階 大階段/農大の奥多摩演習林の木材を使用した大階段。研究発表にも利用できる多目的階段。本学は明治の英傑、榎本武揚が北海道開拓に関与した経験に基づき、農業の発展には農民の教育が不可欠との信念のもと1891年に創設されました。その榎本の招聘で初代学長に就任したのが横井時敬でした。彼が遺した「稲のことは稲に聞け、農業のことは農民に聞け」「農学栄えて農業亡ぶ」という言葉は、観念論を排した「実学」の重視を意味し、本学の教育の根底に息づく不変の教育研究理念として受け継がれています。また、「人物を畑に還す」という横井の言葉は、実学主義のもと農業後継者であり社会の担い手の育成を本学の使命とする「建学の精神」となっています。以来、129年の歴史を刻んできた本学ですが、この30年の間に世田谷の農学部・単一学部の時代から、北海道オホーツク、厚木の2キャンパスが加わり、6学部23学科を擁する農生命科学系総合大学の拠点として大きく成長してきました。そして2021年には創立130周年を迎えます。翻って世界を見るに、生命、食料、環境、エネルギー、健康等の問題が山積しており、本学の学びの領域も、農学に加えて生命科学、環境科学、情報科学まで広がっています。これに伴い「実学主義」の教育研究は、 さらに深く、より高い専門性が求められ、新たなステージへ向かおうとしています。「実学主義」という本学の教育研究理念を、世界が直面する問題に対応し体現することが時代の要請でもあり、それに応えるべく挑戦する本学のシンボルの一つが、 今年4月に世田谷キャンパスに誕生した「農大サイエンスポート」です。 名称の“サイエンスポート”は、農大精神の象徴でもある学歌から引用した「科学(Science)」と、人・教育・研究・情報が交流するとともに、卒業生が巣立って戻る「港(Port)」という意味を込めたものです。東京農業大学 学長髙野 克己 氏Takano Katsumi変わりつつある本学のシンボルとして誕生
元のページ ../index.html#3