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03SPACE QUEST 01HIRAKATA PERFORMING & VISUAL ARTS CENTER枚方市役所 都市整備部施設整備室 課長芝 昌和 氏Shiba Masakazuオープンを迎えた「枚方市総合文化芸術センター」は、2014年に「総合文化施設整備計画」が策定され、建設に向けた動きがスタートしました。計画の背景には、半世紀以上の使用で老朽化した旧市民会館の建て替えニーズがあり、基本設計の検討過程で、文化芸術団体、民間事業者、大学関係者等、さまざまな立場の方にアンケートやヒアリングを実施の上、総合文化施設に求められる機能と規模を決めていきました。その結果、文化芸術振興に寄与する基本の施設として、1,468席の大ホールと325席の小ホール、多目的に活用できるイベントホールが完成しました。オープンに先立ち募集したネーミングライツパートナーでは、学校法人関西医科大学様、枚方信用金庫様と契約を締結。「関西医大 大ホール」、「関西医大 小ホール」、「ひらしんイベントホール」「ひらしん美術ギャラリー」の名称で市民の皆様に公開することができました。1,468席の「関西医大 大ホール」は、1階836席、2階392席、3階240席で構成し、3階席の最後部から舞台までの最大視距離を約28mに抑えて、演じる側と一体感のある客席としました。また、最大のこだわりである音響は、設計士さんが繰り返し音響試験を重ね、反射音をシミュレーション。豊かな「響き」のある音楽環境を創出できるよう、内装には比重が大きく音響効果の高いレンガを使用し、走行式の音響反射板を備えることで、催しに応じて音響が変えられる高機能なホールとなりました。また、旧市民会館の座席は横幅が狭く、クッションも柔らかすぎて体が沈み、長時間の鑑賞には適していませんでした。そこで、座席は横幅53cmと一般的な座席より2~3cm広げ、クッションも表面は柔らかく、芯は硬い2層構造とすることで快適な座り心地を実現。背の角度も1度単位でシミュレーションしたものを設計士さんがチェックしたうえで試作品を製作。座席の位置に応じた最適な角度を設定することができました。前席との距離もしっかりとってもらうとともに、大規模ホールとして全国初となる「放射空調システム」を導入し、省エネと快適性を両立しています。「関西医大 小ホール」も席数が異なるだけで大ホールと同じハイスペックなホールです。大ホールが音楽・演劇の本格的な市民の文化力向上と広域的な交流・賑わい拠点として整備

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