SCENE113
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06音楽教室/イス:X50サルホール、レコーディングスタジオもあります。大規模なオーケストラを編成できる2階のコンサートホールには、レコーディングスタジオが整備されており、録音やライブ配信を行うこともできます。音楽教室とコンサートホールは、音漏れや振動を防ぐために、特殊な防音構造になっています。壁と床は厚いコンクリートで作られており、まるで建物の中にもう一つの建造物が建っているようです。また、壁と天井の仕上げは高い吸音性を持つ石膏ボードと多層構造のウール材で構成されています。さらに音楽教室には、防音壁と防音室も備えられており、より高い防音性能を実現しています。建物は大きく分けて2つのゾーンに分かれており、「パブリックエリア」はタイムレスでフォーマルな雰囲気を演出しています。自然素材の温かみと、重厚感のあるブラックとゴールドのコントラストにより、静謐で洗練された空間を創り出しています。「エデュケーションエリア」は、創造的な学びの空間として、明るく開放的な雰囲気を重視しています。学びをサポートする最適な照明と音響で集中力を高め、創造力を育むための環境を整えています。また、プライベートな学習スペースから、グループワーク、ミーティング、コミュニケーションのためのエリアまで、さまざまなスペースを確保することで、多様な活動をサポートしています。廊下の壁はコンクリート打放し仕上げで、床にはオーク材の堅木が使われています。また、レクリエーションエリアが随所に設けられており、カラフルな配色で楽しさを引き立てています。共用部分は共通の素材を使用し、一体感のある空間を演出しつつ色調を変化させていることが特長で、落ち着きのあるブルーやグリーンのスカンジナビアンカラーが、コミュニケーションスペースの家具や内装仕上げ材に取り入れられています。コンサートホールと音楽スタジオは、同じ素材を使いながらも、全く違う使い方をしています。そのため同じ雰囲気を感じさせつつも、それぞれが強い個性と音響特性を持っています。従来の音楽空間ではあまり使われていない金属を木材と共に取り入れており、金属独特の雰囲気と特殊な音響効果で、特別な空間を創り出しています。MUBAは、2022年のインテリア建築部門でエストニア建築文化基金およびエストニアインテリア建築家協会のアニュアルアワードを受賞し、エストニア建築家協会建築賞にもノミネートされました。 また、MUBAのプロジェクトとしては、エストニア建築コンサルティング会社協会の2022年ベスト建築プロジェクト賞と、2022年ビルダーオブザイヤー賞も受賞しています。この輝かしい受賞歴を誇りに思うと同時に、MUBAから国際舞台で活躍する多くのアーティストが巣立っていくことを楽しみにしています。Tallinn College of Music and Ballet (MUBA)所在地:タリン(エストニア)設計: Atelier Thomas Pucher(オーストリア)   3+1 architects(エストニア)

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