SCENE117
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04所在地:兵庫県施主:学校法人辰馬育英会[上左]受付・検索コーナー/イス:ティーポほか、カウンター、検索台、カウンターバック棚 [上右]ブラウジングコーナー/ソファ、マット、図書館家具一式 [下左]入口/サインが新たに設置され、入口にはガラスの扉を設置。閉鎖的なイメージを払拭し、来館しやすい雰囲気を演出している。 [下中]閲覧・自習コーナー/窓外の山を臨む1人用カウンター席が設けられ、学習に集中できる環境。イス、カウンターテーブル、デスクライト [下右]プライベートスペース/ルーバーで囲われた空間の中、落ち着いた雰囲気の照明とリラックスできるイスでくつろぐことができる。イス、スツール、デスク、デスクライト戻すことができます。閲覧・学習スペースや閲覧・自習コーナーで過ごした後のリフレッシュに最適な空間といえます。今回の改修では家具の入れ替えだけでなく、配架からオンライン蔵書検索システムの導入まで愛知株式会社さんと共に進めることができ、洋書を含め大学レベルの書籍を厳選し、閉架図書も含めた全蔵書約4万5,000冊(2024年9月時点)を□えることができました。旧図書館では閉架図書にしていた開校初期の貴重な蔵書も開架でき、コンセプト5の「学院の歴史をとどめる場」にふさわしい図書館になったと自負しております。天井に届くばかりの書架が整然と並んだ館内の景色は、まるでブラウンのカーペットの床に根を下ろして知の枝を広げる書籍の森のようでもあり、歴史の重厚さが醸し出す上質な空気に満ちています。本校は「気品高く教養豊かな有為の人材の育成」という教育方針を掲げていますが、「気品の高さ」とは自分の常識にとらわれず、先人の知をリスペクトし、考え方や感性の異なる他者に対して誠実に向き合う謙虚な姿勢から生まれるものです。また、「教養の豊かさ」は、狭い世界に閉じこもることなく未知の世界に興味を持ち、「なぜ」という問いを発し探究し続ける中で自己の成長とともに育まれるものです。改修後の図書館は、まさに教育方針が実践される場としてふさわしい空間に仕上がりました。授業を終えた生徒たちの来館する姿が頻繁に見受けられるようになり、単なる設備の更新ではなく、教育方針の再確認と実践につながる手応えを感じています。図書館の存在がそのまま進学実績に直結するものになるとは思いませんが、生徒たちの長い人生を豊かなものにしてくれる気品と教養を育む場となったことに、大きな意義を感じずにはいられません。生まれ変わった図書館で、彼らが主体的に「知」を探究し、卒業後の社会に適応するための知識やスキルを身に付ける以上に、自身の人生の核となるようなテーマやライフワークを見つけてほしいと思います。甲陽学院高等学校 図書館

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