所在地:京都府施主:学校法人龍谷大学設計・施工・監理:株式会社竹中工務店内装設計:アトリエ空色(内装実施設計・監理:株式会社竹中工務店)[上左]2階 心理学合同研究室/イス:ビアネロ、テーブル、書庫 [上右]3階 会議室/イス:ティーポ、テーブル:CTZ特注品 [下左]1階 プレイルーム/公認心理師・臨床心理士を目指す大学院生のための教育訓練・研修機関として臨床心理相談室「大人と子どものこころのクリニック」を併設。イス:ジーン、テーブル、キッズチェア、キッズテーブル、シェルフ [下右]1階 面談室/イス、テーブル空間を明確に区切るのではなく、三つの吹き抜けを通して中高生と上の階にいる大学生が互いに「気配」を感じ合える。それは家族が同じ家の中で互いの存在を感じながら、各々の時間を心地よく過ごす感覚に似ているのかもしれません。そして、最も腐心したのが、黎明館を七条大宮のランドマークとして印象付ける象徴的な外観をどのように形成するかということでした。入澤学長(現理事長)からシュールレアリスムの画家、ルネ・マグリットの絵画のイメージが提示されたことで、現実を超えた不思議なアイコンへのアプローチができたと思います。そして提案したのが、黎明館を象徴するシンボルツリー「共創の樹」です。仏教系の大学である龍谷大学さまの「生命」に対する強い思いを象徴するものとして、浮遊する球体から伸びる樹木の姿をイメージしました。「共創の樹」はさまざまな形状を検討し、不思議さが最も感じられる積み木のような球体に落ち着きました。また、施工にあたっては樹木の種類の選択から球体の造作、水やり・排水システムの組み込みまで、製作を担当する協力会社や竹中工務店でランドスケープデザインを行うチームなど各所に相談しながら進めました。こうして黎明館のシンボルとなる「共創の樹」の造形が明確になったことで、内装、家具、インテリアも木調のマテリアルや草原を思わせる緑のカーペットなど、共創の樹につながる自然をテーマに進めることができました。特にインテリアを担当されたアトリエ空色の山羽さんには、内部空間構成の検討段階から協業を開始し、各部のマテリアルからディテールに至るまで主導していただきました。家具、什器に関しても山羽さんを交えて愛知株式会社さんと双方向的で密接な協業を進めた結果、建築空間との一体感を感じさせる、とても魅力的なものとすることができました。振り返れば、黎明館が完成できたのは、入澤学長(現理事長)をはじめ職員の皆さま、山羽さん、愛知株式会社さんら関係者全員が立場を超えフラットな関係性の中で一丸となって取り組めたからだと思います。まさに「共創」の結実として誕生した「黎明館」が、教育施設という枠を超え京都のまちの風景の一部となり、訪れる一般の方やそこで過ごす生徒・学生の皆さんの記憶に刻まれるランドマークとなることを願っています。学校法人龍谷大学 黎明館 06
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