SCENE98
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SPACE QUEST 01OTEMAE UNIVERSITY OSAKAOTEMAE CAMPUS一歩先の未来のニーズに応える看護師を養成少子高齢化が急速に進む日本において、将来の保健医療を担う看護師不足の解消は喫緊の課題でした。1992年に施行された「看護師等の人材確保の促進に関する法律」の基本方針には、看護系大学・大学院の整備充実が盛り込まれ、これを契機に看護学部・学科を設置する大学が急激に増加することとなりました。その結果、1989年はわずか11大学に過ぎなかった看護系大学が、2018年には263大学と20倍以上に膨れ上がっており、全大学の約3大学に1校が看護学部・学科を有する時代となったのです。このように多くの大学がこぞって看護職養成に取り組む中、未来を見据えた看護教育の提供を目指し開設したのが、国内初となる本学の「国際看護学部」です。その教育の柱には、①「へこたれない看護師の養成」②「グローバルコミュニケーション能力の育成」③「多様性の理解と受容」の3本を据えています。「国際看護」という言葉から海外で活躍する看護師をイメージされるかもしれませんが、現在、日本を生活基盤とする定住外国人や、旅行者などの訪日外国人が増加の一途をたどっており、こうした人たちに適切な看護が提供できる人材の育成が急務となっています。一般企業で急速なグローバル化が進んでいるように、日本の医療現場も今後ますますグルーバル化が進むことは必至です。そうした「身近なグローバル化」に対応できる看護師を育成するためには、看護の知識・技能だけでなく、グローバル社会を生きるために欠かせない「多様性の理解と受容」、英語を基本とした「グローバルコミュニケーション能力」は必須といえます。一方、4年間の看護教育を受け、晴れて看護師として看護の現場に飛び込んでいく新人看護師たちですが、残念なことに4年制大学の新卒看護職の1年以内の離職率は7.8~8.0%という調査結果が出ています。一桁の離職率は一見低いように思われるかもしれませんが、人数に換算すると約700人。つまり7、8大学分の看護学部・学科の学生が、看護師資格を取得したにもかかわらず辞めていることになります。その原因としてあげられるのがリアリティショック※です。さらに新卒者の心身の健康問題が原因という報告もあります。その背景には現在の看護教育の問題が内在しているように思大手前大学 国際看護学部学部長・教授鈴井 江三子 氏Emiko Suzui03

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